第6話異世界者特典! 【進化の系譜】!
無いものは仕方ない、できるだけ注意して生きていこう。
そう思った矢先、セルステリアが1つペンダントを差し出してきた。
「こちらをどうぞ」
綺麗な
月夜が持つには少々大きすぎるような気もするが、セルステリアはそれをお構いなしに月夜の首に掛けた。
その瞬間、まるで月夜のサイズに合わせるかのようにペンダントが縮小した。
「うぉ! なにこれ? 凄いやつ?」
多少驚きはしたものの、すぐさま平常運転に戻る月夜。
「えぇ、凄いやつです。それは、【進化の系譜】と呼ばれる神造武具の1つです。
おっとぉ、色んな情報有り過ぎて軽くパニクってます。
えーっと、まずは神造武具っつーのは神が作ったやつって事だよな。
次に、
それが
よし! オーケー。このぐらいなら俺でも噛み砕けるな。
はてさて、しかし初耳だな。
「【進化の系譜】ってなに?」
「はい。まずはそのペンダントに手をかざして、何かを抜き取るようにイメージして下さい。できましたら、そのまま実際に引き抜いてみて下さい」
言われるがままに、月夜はイメージして引き抜いてみた。
すると、本当にペンダントの
羊皮紙のような質感で、お世辞にも神が造ったとは思えない粗雑な感じはいなめないが……
月夜の微妙な反応をよそに、セルステリアは説明を始めた。
「それが【進化の系譜】でございます。具体的に言いますと────」
────なかなかに、凄まじい効果を持ったアイテムだった。ってかシンプルに使えるな、これ。
その効果とは、進化種への体質変化、進化と退化の完全制御、多種族への自由転換。主だった効果はこの3つだった。
1つめの効果、進化種への体質変化とは、文字通り所有者の体を進化できる体にするという事だった。
最初はそんな凄いと感じなかったが、説明を聞いて重要さに気づいた。ってか最重要の効果だった。
この世界では、皆んなが皆んな進化できるわけではないらしい。ある一定以上の素質を持った個体にのみ、そのチャンスは与えられるのだとか。進化できない個体を通常種、進化できる個体は進化種と呼ばれ、この世界では明確に分けられている。
そして、進化種になった時点でその強さは進化できない通常種よりも上位個体とみなされるそうなので、【進化の系譜】によって強制的に進化種となった俺はもうすでに上位個体の仲間入りを果たしている。
俺みたいにアイテムに頼らずに進化種となったイカつい奴もいるらしいし、なかなかに侮れない世界だなーと思いました。
2つめの進化と退化の完全制御は、ぶっちゃけ進化してみなきゃ分からん。
1度でも自分が成ったことがある個体なら、瞬時に切り替えられるらしいけど俺はまだ最初期の段階だから、実際に進化して試すしかねーわな。
3つめの多種族への自由転換も同様だが、これはできるのが1番後になりそうだな。
進化の過程で、進化後の形態を複数から選べる時が来るらしい。例えば、悪魔系統の進化をしていても適性や環境なとで多種族系統への進化をする事もできる。って説明されたけどいまいちよぉ分からん。
でも【進化の系譜】を持っていなければ通常は1種族系統しか進化できないとの事なので、なんか得した気分なんだけどね。俺だけ選択肢が多めに用意されてるとでも思っとけば問題なさそうだし。
ってな具合に、この世界においてはかなり有利になれる転生者特典を無事にもらえたって事で、現在テンション爆上がり中でっす!
しかもこの【進化の系譜】は俺の魂にしか反応しないらしいから、パクられる心配もナッシング!
これにて
「お待ち下さい」
「グェッ!」
走ってる人の襟は掴んだら行けませんって学校で習わなかった?
テンションにその身を任せ、勢い良く飛び出そうとした月夜をセルステリアはガッチリと掴み、「まだ話は終わっていません」と告げて正座をさせた。
セルステリアって意外と長話しするタイプだよね。御来賓の方ですか?
「【進化の系譜】を広げて見て下さい」
「…………
言われた通りに広げたそれには、2つの種族名とイラストが描かれていた。
1番左に
ふむふむ、これが次に俺が進化する個体名か? その前にこのイラスト描いた奴誰なん? この
「このように、進化をしていくと段々と表示される種類が増えていきます。表示されるのは1度経験した個体、及び今現在の個体の1段階上の個体までとなっております」
つまりは後ろは全部見渡せるけど、前は一歩先しか見えないわけか。まぁいいさ、先が気になるなら進化してけばいいだけの話だろ?
「オケマル! りょーかいしたよ! 他に注意事項とかある?」
「──今はまだ」
間が気になる! 今はって事は後々なんかあるって事か? なんかちょっと笑ってるのも怖いわー。でも可愛いから許す!
それよりも、実はさっきから気になってる事があんだよねー。
「あのさ、あそこ見て」
そう言って月夜が指を指した先には1匹の魔獣とと
おそらく、あの人間達は先程見た冒険者っぽい感じの人間達だろう。ともすればあれは狩り、もしくはクエスト的ななにかだろうと月夜は思ったのだか──
「正直、さっきからすっごい胸糞なんだよね」
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