第2話「入学と説明会」
青い光を放つ扉を抜けると、大きな校舎があった。
広い庭園には緑が溢れており、庭園の真ん中には小さめの噴水。
校舎は赤レンガ造りの三階建て。
コの字になった校舎の一階は、両端に教室。真ん中は渡り廊下になっている。
その渡り廊下の中心に、部屋が一つ。
その部屋が、最初の目的地である。
母さんと一緒にその部屋へ入ると、説明会用にレイアウトされた教室だった。
長机が2列に3つずつと、それぞれの机に椅子が2脚ずつ。
保護者と生徒の席だろう。今日は6組の入学者が説明会に参加するらしい。
そして、それぞれの机に教科書一式と学校のバッチが置かれていた。
教室の前方には、教壇が真ん中に一つ。
既に先生と思われる女性が立っていた。
「おはようございます。お名前と魔石を」
そう言われて、慌てて鞄から魔石を取り出すと、女性に差し出して自己紹介をする。
「エドワード・フォーマルハウトです」
名乗ると、女性は片手に持っていた書類を見てチェックをいれると、一つ頷いてこちらを見た。
「エドワード・フォーマルハウトくんね。確認しました。魔石も青色に染まっているわね。よろしい。では、席へ案内します」
女性はそういうと、一番前の席、窓側へ案内してくれた。
席に座って、ようやく緊張が解れてきたらしい。
大きく息を吐くと、次々と説明会を受ける生徒と保護者が入室してきたのが見えた。
6組全員が席に着くのを確認すると、先ほどの女性が教壇に立って挨拶を始めた。
「改めて、おはようございます。私はこの学校で教師をしておりますエリーヌ・カペラです。担当は基礎Aクラス。皆さんが10歳の誕生日を迎えるまでを担当します」
エリーヌ先生の挨拶で、説明会が始まった。
説明会の内容は、学校のシステム説明と、試験の受け方。学校生活の注意点等だ。
僕が入学する探偵コースは、現在いる校舎が専門棟になっており、他の棟へは立ち入りが出来ないようになっている。
7歳の入学から9歳の最後の日までは、エリーヌ先生が担当する基礎Aクラスに在籍。
そのクラスの中でも年齢別なっており、三年間のうちに7歳、8歳、9歳の年齢級試験に合格しなければならない。
年齢級試験は、その年齢の間ならいつ受けても問題ないけれど、最終試験は誕生日の7日前と決まっている。
判定はS~Eで決まり、D、E判定は落第。再試験を誕生日の前日に受けて、その合否によっては留年の可能性もある。
A~C判定は合格。最終試験までに合格していれば、残りの時間は自由に過ごしていても良い。再試験を受けて更に上の成績を目指すことも可能だ。
S判定で合格した場合は、次の年齢級試験に挑戦する権利を得られる。
所謂、飛び級だ。
飛び級しても良いし、S判定での成績で進級しても良い。
S判定を得られる生徒はほとんどいないそうだが、次の年齢の試験で酷い成績を取ってしまうと卒業時の内申に響くので、優秀者として進級することが多いそうだ。
クラスは年齢によって名称がある。
7歳はエッグクラス。通称Eクラス。
8歳はベイビークラス。通称Bクラス。
9歳はパピークラス。通称Pクラス。
E、B、Pクラスで一纏めの教室で過ごす。
1階の東側の教室だ。
10歳でインフェントクラス。通称Iクラス。
11歳でトッドラークラス。通称Tクラス。
12歳でチャイルドクラス。通称Cクラス。
I、T、Cクラスも一纏めの教室で過ごしている。
1階の西側の教室だ。
13歳になるとミドラークラスと呼ばれ、2階の東側の教室へ移動する。
通称、Mクラスだ。
Mクラスでは探偵技能試験も受けることになる。
年齢級試験に合格しても、技能試験が不合格ならば進級はできない。
14歳はスキルアップクラス。
Sクラスと呼ばれるこの年齢で実習を受ける。
実習先での評価によって、また合否が決まる。
15歳はラストクラス。
言葉通り、最終学年だ。
このクラスでは就職活動がメインとなる。
年齢級試験に合格して、就職活動をしなければならないから忙しい年だ。
就職先が決まっても、年齢級試験に合格しなければ卒業が出来ない。
教室での過ごし方は、年上の者が年下の勉強を教えてくれるのが基本だそうだ。
7歳~12歳までは、それが基本的な過ごし方になるそうだ。
13歳になると、独学が基本になるので、情報収集や友人関係を築いていなければ悲惨なことになるらしい。
14歳では課外活動がメインなので、登校しない日の方が多い。
15歳の過ごし方は、個人によって変わるそうだ。
まだ先のことなので、そこまで詳しい説明もなかった。
学校は朝9時から夕方5時まで。その時間に到着するようにスクールバスが出されているそうだ。
乗り遅れた場合は、すぐに連絡をいれなければ欠席扱いになる。
......前世とあまり変わらない生活習慣になりそうだな。
何となくそう思いながら、僕は先生の説明を聞いていた。
この世界でも、土日はお休みだと聞いた時は安心した。ゆとり世代だった僕にとってはお休みの日は重要だ。
ざっと、こんな感じで説明会が終わった。
教室の時計を見ると、丁度お昼の時間になるところだった。
「説明会はこれで終わります。質問があれば、午後に個別で伺いますので、先にお昼休みをとりましょうか」
エリーヌ先生はそういうと、教室の扉を開けた。
「本日は、入学祝いとして学校側で昼食を準備させていただきました。同期になる友人達と交流を深めてください」
先生に引率されて庭園へ出ると、芝生の上にいくつかのテーブルが準備されていて、屋外での立食パーティーのような雰囲気になっていた。
テーブルにはサラダやパスタ、お肉料理まで色々な種類の料理が載せられていて、座って食べられるように人数分以上の椅子も配置されていた。
「今は12時になったところですね。本校での昼食時間は1時間半あります。ゆっくり食べて、楽しく過ごしてくださいね」
それだけ言うとエリーヌ先生は先ほどの教室へ戻っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます