第5話 母のことが、恥ずかしい

結婚と同時に四国の山奥から関西に出てきた母。


若い頃の写真を見るとそれなりに綺麗だしおしゃれだなぁと思うのだけれど、長女の私を生んだのは高齢になってから。


最近は、高齢出産なんて当たり前だし、年齢を重ねてもおしゃれを楽しんでる女性が多いけれど、うちの母は、閉鎖的で、おばあちゃんみたいな雰囲気が漂っていた。


それが、恥ずかしくて仕方がなかった。



今でもはっきり覚えてるのは小学校5年生の時。

クラスでやった、お楽しみ会。


いくつかのグループに分かれ、そのグループ内でサンドイッチを作った。


まわりのお母さんは、「さ、みんなでやるぞぉ!」みたいに明るくひっぱっていってくれたり、それなりに和気あいあいとした感じで楽しそうに作業してた。


私のグループの大人は、母親がいない子がいて、その子のおばあちゃんと、うちの母、二人だけ。


どちらもほとんど話さない。


おばあちゃんがいかにもおばあちゃんなのは良いのだけれど、うちは母親なのにおばあちゃんみたい。


いやだなぁ、恥ずかしいなぁ、早く終わってほしいなぁ。




そんな気持ちでいると、ふと、男子に聞かれた。


「これ、お前のおかん?」


おばあみゃんみたいな母を指差して。




私は母に聞こえないよう、静かに答えた。






「違うよ」




母には少し申し訳ないなぁと思ったけれど、まわりのお母さんとは違う母を、受け入れるができなかった。

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