第4話 相談するのを諦めた日 2

母から答えがなかったあの日から数日が過ぎた。


世間ではいじめが原因で自殺してしまった学生の事が話題になっており、クラスでもアンケートが配られた。


そのアンケートは先生が作成したもので、生徒ではなく、両親が答えるもの。


私は母に渡した。


記入してもらったあと、戻ってきたアンケートを見ると。


「あなたの子供はいじめられていますか?」

の問いに、

「はい」

の部分に丸がつけられていた。


私は、恥ずかしくて、情けなくて、カッとなった。


いじめられてること相談したとき、何も言ってくれなかったよね?


「私、いじめられてないよ!」と言ってみた。


そしたら、母からの言葉は…



「前にいじめられてるって言ってたやん」




え…




ちゃんと聞こえてたんだよね?


娘がいじめられてるって、SOSを出してるのにどうして何も言ってくれなかったの?


お母さんなのに?って。


たった一度だけ勇気を出して相談したのだけれど。


その一度だけで、二度と母には相談を持ちかけることはなかった。


進路のことも。


結婚、妊娠、マイホーム。

すべて事後報告だった。



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