名も無き神 上

一話

なあ。


お前は、さっきから愛だ愛だと喧しいが…

誰かを愛した事はあるのか?















失礼ですわ!


猫の分際で…

食べちゃおうかしら…


私は生涯…

いえ、もう死ぬなんていう下等な事は出来ない身体ですけど…


未来永劫…あの方だけ…
















リリスの旦那だな。
















そう…

あの方。



私は、あの方に命を助けられ…

この心を奪われた。


あの方は何とも思ってないですわ。私の事なんて。


ただの犬くらいでしょうね。



このただの犬が…

あんな綺麗なリリス様に勝てる訳がない。


不倫なんて、夢のまた夢ですわ…



だから…

人間の行為に憧れますの。















分かりやすい奴だな、お前は。


では…

こんな話を聞かせてやろう。



その前に言っておくがな。

俺は、こいつじゃない。


眼が見えないのは事実だが、俺は話せる。



だが、こっちの猫は話はしないだろう。



そりゃ、こいつの勝手だ。

ほっときゃいい。



こいつはこいつ。

俺は、俺だ。

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