第4話 ボクタチが居る
暗闇から湧き出てきたような僕たちとそっくりのダレカが居る。
「キミタチはダレ?」
僕が聞いても答えない、怖がってるのかな?と少し思うが少し違う感じがする。
何だろう、この変な違和感ズレてる感じがする。
「・・・、どうしたの?」
少しの違和感が恐怖心を作り出した。
僕の声はちょっと震えてしまった。
僕の袖を軽く引っ張って、君がいった。
「逃げよう?」
「ぇ・・・?なんで?」
確かに不気味で怖いけど、意味もなく逃げるのは失礼だと思う。
「何となくだけど、絶対に触れてはいけないナニカな気がするの。」
「触れてはいけない?」
僕は君のいう事が全く分からなかった。
でも、確かに変な感じ、だって、僕たちと一緒だから。
ギィ
「えっ?」
今の金属音、なに?
僕は前のボクタチを見た。
ボクが大きな口を開けていた。
その口はギザギザとした大きな牙・・・、いや、牙というよりもノコギリみたいな歯が付いているといった方があっている気がする。
あの不快な金属音はアイツが出したのか?
「にげ・・・、にげない・・・と・・・。」
君が小さく呟いた。
そうだ、君を家に帰さないと。
僕が、君を、助けないと。
だって、こうなったのは僕の所為だから。
僕は君の手を握って駆けだした。
逃げなきゃと分かっていても、呟くことしかできなかった。
足が恐怖で動かないの。
暗闇が私の動きを封じるの。
死にたくない、けど、動けない、怖い、力が入らない。
私だけだったら、たぶん死んでた。
つかまって、喰われてた。
でも、貴女が手を握ってくれたから、私を引っ張ってくれたから、逃げれたの。
この街の事をよく知っている貴女は裏路地に逃げたり、裏道に逃げたりした。
少しだけ足場の悪いところがあったけど、私の事も考えながらルートを決めてくれてたのか、私でも走れた。
私達がアイツラから逃げれたときにはもう隣町ぐらいまで来ていた。
「はぁ・・・、はぁ・・・。」
「だ・・・、大丈夫・・・?」
「・・・、私は・・・、大丈夫・・・、だよ・・・。」
「よ・・・、よかったよ・・・。」
貴女は息を切らしながらも私の事を心配してくれている。
この状況なら、人の事よりも自分のことになりそうなものだけど・・・。
「貴女って・・・、凄いね・・・。」
「ぇ・・・?僕が・・・?なんで・・・?」
「こんな状況でも・・・、私の事を心配してくれるところが。」
「・・・?そんなに凄くないと思うよ。・・・、だって親友を心配するのは普通でしょ?」
貴女は普通の顔でそう言ってきた。
そういう事をさらっと言えちゃうところ、本当にすごいと思う。
私達は少しだけ、リラックスすることが出来たようだった。
どうやって家まで帰るかが問題になってきたけど・・・。
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