第26話 幹部三人衆

 ギアピオンが両腕と尾の先端から熱線の魔法を照射する。熱線は細いながらも威力は高く、瞬く間に周囲の建物を切断してしまった。これをホークスが全方位に張り巡らせた防御呪文でバリアを形成し、何とか全員を守りつつ防ぐ。熱線は跳ね返されて分散。分散された分一つ一つの威力は落ちているが、カーブを描いて辺り一面を薙ぎ払いまくっており被害は広がるばかりだ。誰にも予想だにできない箇所に降り注ぎ、幹部たちの部下が何名か犠牲になり散っていく。たまらずロウネットが声を上げた。

「ちょっとちょっと! ストーップストーップ!!」

「む、どうした?」

 そう言われてギアピオンが攻撃の手をやめる。

「む、どうした? じゃないわよ! 危ないでしょうが! それに見て見なさい。あんたの節操無しな攻撃のおかげで辺り一面滅茶苦茶じゃないの!」

「ふん、この程度で何を。その気になれば一瞬でこんな街――」

 そう言いかけて今度はビガンティスが忠告してくる。

「魔王様からも極力被害は出さないようにって言われてんだろ。忘れたのか?」

「む、むう……」

 と、魔王の名を出されてはギアピオンも押し黙るしかなかった。

 そんな幹部たちの様子を見てエマ、ツァント、ファルが飛び出す。

「一瞬の隙が命取りになりますよ?」

 四方八方に散った彼らはロウネットの配下たちに狙いを定めて襲い掛かる。エマとファルが左右から雷光斬ドルー・モ・ルティを放ったかと思えば、ツァントが複雑な軌道を描きながら中央突破するようにして――。

「秘剣、蒼空断裂斬ディス・ラズァード

「なっ?!」

 ロウネットが気が付いた時にはもう三人とも彼女の背後に回っており、配下の半数を霧へと変えていた。

「す、すげえ……」

 素直に驚くホークス。しかし彼にはどうにも引っかかる事があった。

「でも、奴らの言ってた街への被害を出さないようにってどういう事だ?

 この街のどこかにお宝でも有るのか、それとも征服した後にここを使うつもりだったり……?」

 そんな彼の疑問にニアが答える。

「そ、それは無いわね……多分、ホークスがやろうとしたみたいに強力な魔法とかで反撃を受けるのを警戒しての事よ……」

「ニア……?! 反動推進飛翔術レアクツィ・アディーロ!」

 ホークスはケガをしているニアにまた喋らせてしまったと反省しつつ、咄嗟にビガンティスからの鎌による攻撃から彼女を庇うようにして抱きかかえて空へと飛んで逃げる。

「ちっ! あとちょっとだったのによ。でもその女の言う通りだ。俺らの魔王様はお優しい方なんでな。こちらの戦力が無駄に削がれるのを危惧されて言ってくれてるんだよ」

「なるほどな、部下思いの良い上司ってわけか」

「そういうこった。どうだ、魔族側につくか? 今なら俺様のサンドバッグ代わりに飼ってやってもいいぜ~?」

「遠慮しておくよ。なんせ俺ってば、どっちかと言うとSなんでね!

 くらえ、雷光乱舞ライトニング・レーザー!!」

「何?! ぐわぁぁぁぁぁぁ!」

 ビガンティスとしてもホークスのような相手は初めてで、いきなり電撃の魔法が来るとは思わなかったのか見事に食らってしまう。しかし、通常の魔族相手なら猛威を振るったこの呪文も、幹部相手では致命傷には程遠い……多少表面が焦げた程度ですぐに体制を立て直して立ち上がる。

「ふん、人の獲物を横取りしようとするからそうなる」

「う、うるせえ……俺はな、戦いたいんだよ! いくぜ野郎ども、あいつを――?」

 あいつを血祭りに上げろ、そう言おうとしてホークスの姿が消えている事に気が付く。

「ど、どこに消えた?」

 キョロキョロと周囲を見渡すがどこにもいない。ギアピオンが嫌味で攻め立てる。

「やれやれ、体よく逃がしてくれたものだ。それとも遊んでいるのかな? その余裕、少しは分けてほしいものよ」

 しかしその言葉が彼に火をつけてしまった。

「くっ、面白れえ。逃げるような雑魚相手なら、多少無茶やっても文句ねえよなあ!」

 そう言いながら両手の鎌を水平に構えると胸の前でクロスさせた。

「ビガンティス?! 気が狂ったか!」

 ギアピオンがもの凄い勢いで地中に潜り始める。

真空大切断アルトヴァウダー・セクツァー》!!」

 ビガンティスが叫ぶや否や、交差させられていた腕は左右に大きく広げられる。同時に横幅五十メートルはあろうかと言う真空の斬撃が放たれた。

 斬撃はビガンティスの前方の建築物を次々と貫通しては倒壊させていく。やがて半径十キロもあるオリエルの街並みに風穴を開けた。

 いきなりの暴挙にロウネットも少し引いている。

「あちゃあ。下は下で何かやってるし……血の気の多いことで。……ん?」

 ロウネットはビガンティスの周囲だけが少し薄暗い事に気が付いた。その薄暗さは徐々に大きさを狭めてきている。そしてはっとして更に上空を見上げた。

 そこには太陽を背にし、手ぶらで炎に燃え滾った拳を構えているホークスの姿が。そして視界の隅にはニアを抱えて遠くへ飛んでいくエマが。そんなロウネットの様子に気が付いたホークスは口元をニヤリとゆがめる。

「気が付くのが遅いんだよ」

「ビガンティス! 避けな――」

 と、彼女が言い終える前にはるか上空にいるホークスの魔法が発動する。

「真・灼熱の大螺旋拳バニシング・ドリルナックル!!」

 拳を突き出して弾丸のごとく猛スピードで落下するホークス。拳から発せられた炎で全身を包み込み回転させる。完全に獲物に向かって一直線に突き進んだホークス。

 ――だが、手ごたえは薄かった……

「?!」

 ビガンティスの前に尾と腕を重ね合わせて受け止める者がいた。ビガンティスが驚いた顔で呟く。

「ギアピオン……」

「俺に同じ技は二度通用しない。そしてこの装甲、そう易々と打ち貫けると思うなよ?

 多くの配下を失い、ここで幹部までおめおめとやらせたとあっては魔王様に顔向けできんのだ」

 ホークスもそこそこ本気で殴りかかっており、こうして防がれるのは想定外だった。

「……って、痛ってえぇぇぇぇ!」

 固すぎる装甲を前に拳は腫れ、慌てて飛びのく。手首をぶらぶらさせながら患部に息を吹きかける。

「な、なんだよこの幹部と配下の力量差。傷一つ付けられないとかおかしくね? インチキだよ!」

「インチキ呼ばわりされるのは心外だが、褒め言葉として受け取ってやろう。

 だがビガンティス。俺たちも正攻法でどうにかなる程こいつも甘くは無い」

「そうらしいな。杖も詠唱も無しでこの力……久々に本気になった方が良いのかもしれないな」

「そういう事だ」

 そう言うと二人は体に力を籠め、黒い霧を全身から吹き出し始めて辺り一面を霧で覆ってしまう。

「な、何だ?!」

 ホークスが怯んでいると、ファルが「距離を取れ」と声をかけてきたのでその言葉に大人しく従った。上空から成り行きを見守っていたツァントの額にも冷や汗がにじむ。

「恐れていた事が……やはりさっさと倒すべきじゃった」

「う~ん、私もやっとくか。後で魔王様に「何故お前はあの時傍観していたのだ?」とか言われたく無いしね」

 ロウネットも同じく霧を発生させ、その中に身を隠してしまう。

「一体何が……」

 たじろぐホークスの隣にファルが降り立つ。

「ホークスもニアの蜘蛛化を知っているだろう。魔族は普段の姿とは別に本来の姿を持っている」

「それってつまり、正体を現すってこと……?」 

 固唾を飲みこんで無言でうなずくファル。やがて霧が晴れ、中から巨大化し、禍々しい姿へと変貌を遂げた幹部たちが姿を現す。その大きさは三階建ての建物とほぼ同じくらいの大きさだった。

 ホークスは思い出す。

「……そうだったな、この世界じゃ魔力のある奴ほど体がでかくなるんだっけ……」

「そういう事だ。そして大きくなったからと言って、スピードが遅くなるわけでもない。むしろ――」

 そう忠告してくれたファルの気配がつむじ風と共に一瞬にして消えた。

「ファル……?」

 ホークスが横を見ると、ビガンティスの一薙ぎで吹き飛ばされたファルの姿があった。痛々しく壁に叩きつけられ、気を失っている。そしてホークスの身長と同じくらいの大きさになったビガンティスの顔が息のかかりそうになる距離にまで迫る。

「人の心配してる場合じゃないぜ?」

「?! う、うわぁぁぁぁぁ!!!!」

 思わず悲鳴を上げて後ろずさってしまうホークスは尻餅をついて倒れ込んでしまう。

「(や、やばいやばいやばい! 聞いてねえよこんなの! マジもんの化け物じゃねえか!)」

「さて、仕切りなおすとしょう」

 ギアピオンが静かに言うと、尾を荒々しく地面に叩きつける。深くひび割れた大地はウララ達が避難している方向へと延びる。

「……どうした、神焔のゴッドバルトよ。そんなにこの道の先が気になるか?」

「!!!」

 その言葉だけでホークスは悟った。こいつら、シェルターの位置が分かっているのだと。

「ならば、気にせず戦いにだけ集中できるようにしてやろう」

 ギアピオンが尾の先に真っ赤な光の玉を出現させ、エネルギーを集中させる。

「いかん!」

 動けなくなってしまったホークスに代わり、ツァントが急行しようとするも回り込んだロウネットに行く手を阻まれる。

「行かせるわけないっしょ」

「おのれぇ!!」

「良いわ。そうよ、その絶望に瀕した時の必死な顔! 今あなた、最高に輝いてるわよ!」

 ファルも未だ目を覚ませずにおり、誰の目にも絶体絶命の危機なのが分かった。

「雑魚のくせに魔族に立てついたからには、代償は払ってもらわねえとなあ」

 と、ビガンティスがいやらしく煽ってきたその時だった。

「雑魚のくせに生きとし生ける者に立てついたからには、代償は払って貰います」

「何?」

 今にも倒壊しそうな建物の屋上から女性の声が聞こえたかと思うと、続いて大きな少女の声が聞こえてきた。

鬼龍闇黒斬りフォルドラ・メガストゥム!!」

 そしてギアピオンの尾の節を境に先端の棘が一撃で切り落とされる。

「なっ?! お、俺の尾が!!」

「……ちびっこ会長……?」

 そうホークスが呟くも確証はない。ゆっくりとホークスの方を振り返ったその少女は黒く実体のない巨大な鎌を持ち、通常の二つの目に加えて額の中央にも第三の目を見開いていた。しかしその面立ちは確かにミリアそのものである。その顔を見たビガンティスの顔が引きつる。

「こ、このガキ、まさか……死神族の生き残り?!」

「バカな!?」

 しかしこれら巨大な魔王幹部相手に彼女はまったく怯む様子は無い。

「ホークス君は我らステイロ王立大学園の大切な生徒です。この私の目が黒い内はやらせはしません……よ……」

 その呼び方でホークスの疑念は確証へと変わった。間違いないミリアだ。だが彼女は言葉半ばで気を失ってしまった。

「って、会長! ……あ」

 倒れそうになるミリアを庇おうと身を起こすより早く、アマスが駆けつけて抱きとめる。

「まったく会長ったら。考えるより先に手が出ちゃうんですから……でも、気を失ってる顔も可愛い!」

「アマスさん……」

「遅くなってごめんなさい、ホークス君。見ての通り会長ってば技のセンスはあるけど魔力少なくって、すぐ気絶しちゃうのよ」

「は、はあ……」

 だが再開を喜ぶ暇もなく、ギアピオンが激高し全力で襲い掛かろうとしてきていた。

「お、おのれえぇぇぇ! クソガキがぁぁぁぁぁぁ!!!」

 しかし愛しの生徒会長を「クソガキ」呼ばわりされて、アマスが黙っているはずが無かった。それを分かっていたから、ホークスが忠告をする。

「あ、あのー、ギアピオンさん。あまり滅多な事言わない方が……」

「ん? ……んん?!」

 アマスはミリアをお姫様抱っこし立ち上がりながらブツブツと呪文を唱える。

「喜びも哀しみも虚無へと還り、死は全てのモノに等しく与えられん。暗闇にいざなわれ朽ちて果てるが良い。我は唱え訴えし者なり」

 唱えると同時に周囲を黒い光が這うように現れ、その体はゆっくりと宙に浮かび上がって行く。

「なんの魔法だか知らんが、大人しく唱えさせると思っているのか!!」

 ギアピオンが口から熱線を吐くも黒い光に吸収され、残された腕の爪で直接攻撃しようとするも触れた先から腐敗し「分解」されてしまう。

「くっ、ど、どういう事だ?!」

 それを見ていたビガンティスも得も知れぬ恐怖を感じ鎌を振るって襲い掛かる。

「こ、この小娘がぁぁぁぁぁぁ! 朽ち果てるのは、貴様の方だあぁぁぁぁ!!」

 しかし全力で巻き起こされた真空の刃もアマスに届くことなく、ただただ建物と遠方の山を切り裂いただけで終わってしまう。そんなビガンティスをひと睨みするアマスの瞳に恐れ、一瞬全身が震えてしまう。

「あなたも先ほどの失言、忘れていませんからね?」

 やがて焦るギアピオンよりも高い位置にまで上がると、首を傾けることなく彼を見下して静かに放った。

「双方断罪されよ。死神の咆哮フォルディオ・エククリオ

「ぎえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 ホークスが聞いたこの世のモノとは思えぬその悲鳴は、ギアピオンでもビガンティスのものでもなかった。アマスが放った魔法から聞こえた声のような物。

 二人の幹部の体を包み込んだ黒い光の渦が全てをすり潰し飲み込んでいく。死神の名のごとく死を司るその魔法は、時間をかけてゆっくりと食い尽くしていった……

「あ、アマスさんと会長っていったい……」

 と、上空にいたロウネットが慌てふためく。

「や、やばいやばいやばいやばい! なにあれ?! なにこれ?! 聞いてないよこんなの! マジもんの化け物じゃん!」

「化け物、ですか……私をそう呼んだのはあなたで三人目です」

 魔法を終え、二人の幹部を早々に退陣に追い込んだアマスは地に降り立ち、ゆっくりと今度はロウネットを見据える。

「一人目は私の母。二人目は私の父でした……」

「アマスさん……」

「さっき聞いたのでしょう? ミリア会長はまごう事なく死神族の末裔なんです。

 かつて会長に出会った私は、彼女に一目で惹かれていき多大なる影響を受けました。そして気が付けば死神の力を貸与され、暗黒魔法を使えるように……」

「暗黒魔法……」

 初めて聞く話に興味津々ながらも彼女の雰囲気に圧倒されるホークス。

「今まで黙っていてごめんなさいね。でもわざわざ話す必要は無いと思いましたし。何より冷静に考えて怖いですよね? こんな女……」

 話を続けようとしたアマスに、ホークスは土埃を払いながら立ち上がって言った。

「なんだ、そんな事か」

「え? そ、そんな事……?」

「化け物、かっこいいじゃないですか!」

「か、かっこいい???」

 次々と出てくるホークスの言葉にアマスは戸惑う。そんな彼女を知ってか知らずかホークスは続ける。

「俺なんて実家じゃ、妹からは顔を合わせれば「さっさと死ねよ」と言われて汚物のような目で見られる毎日。お袋にはため息と同時に産むんじゃなかったと小言を言われ続け、親父なんて「さっさと出ていけ穀潰し」が挨拶みたいなもんでしたよ」

「ホ、ホークス君が……? いやいやいやいや、流石に私を気遣おうとしてついている嘘でしょ?」

「嘘ならどれだけ良かったか」

「い、いったい何をしたの?」

「何も? ただ息を吸って吐いてただけですが何か」

「そんな……」

 そしてロウネットですら同情を禁じ得ない様子だった。

「ひ、人のする事なの? それが……」

「そうなんじゃない? 本人たちは人間のつもりだったと思うよ?」

「ええ……」

 そんな彼女の様子を見てホークスは一抹の良からぬ考えを思いつく。

「(あれ? あれれ? あの蜂さん、ひょっとして優しい? これは同情かって逆に堕とせれば無駄な争いしなくても済む……?)」

 やがてミリアもアマスの腕の中で目を覚ます。

「う、う~ん……アマス……?」

「あ、会長」

「どうしたの? 敵は? ホークス君は?」

「それがその……」

 するとホークスはここで一気に畳みかける算段に出る。

「あーあー。俺も人の優しさって知りたかったなあ。でも死んじゃうんだろうなあ。なんせ魔族の幹部ってめっちゃ強いしー? かないっこないもんなー。……チラッ?」

 これ見よがしに棒読みで言って見ると、案の定ロウネットが困惑しているのが分かった。

「そ、そんなこと、そんなこと無いと思うよ? 大丈夫だよ。きっと良い人現れるって!」

「無責任なこと言うなよ! じゃあ何か? あんたなら俺に優しくしてくれるのか?!」

「え、わ、私?! いやまあ、ほら、私は魔族だし? 何なら幹部だし、その、ねえ?」

「ほら見ろー! やっぱり俺は誰からも優しくされないで死んでいくんだー!」

「わ、分かった! 分かったから! ね? だからそんな自暴自棄にならないで……」

 気絶開けで今一つ状況の読み込めないミリアが再度アマスに尋ねる。

「……どうなってるの?」

「な、何と言いますか……えーっと……」

 さすがのアマスも説明に困っていると、ホークスが最後の一押しをした。

「じゃあ俺が魔王を倒したら、俺に優しくしてくれるか?」

「は? え、魔王様……?」

「そう! 俺が、魔王様を倒すの! そうしたら優しくしてくれるかって聞いてるの!」

「いや、えー……そんなの出来るわけ――」

 と、その時だった。

 遥か上空から冷気が一気に押し寄せて場の空気が物理的に冷える。

 これまで見たどの魔法陣よりも巨大なそれが展開され、空気が瘴気に代わっていくような錯覚さえ覚えた。

「魔王様!」

 ロウネットの声でこれまで馬鹿な事を言っていたホークスはハッと我に返る。

「……ついに、本丸が出て来やがった……」

 魔法陣から徐々に姿を現す魔王、ベイトル・イヴァイル。クワガタの頭部のような飾りをつけた杖を持ち、頭部には大あごを備えた太ったムカデのような姿は見た者に嫌悪感と恐怖を抱かせる。ローブを羽織った巨大な甲虫で、六本の足と四本の腕を持っていた。そして特筆すべきはその大きさである。背を丸めているとは言え、つま先から頭の上まで二百五十メートルはあった。

「魔力の強さがそのまま大きさになる、か……まるで都庁並みだな……」」

 呆気に取られるホークスにロウネットが尋ねる。

「えっと、ゴッドバルトだっけ。あんた本当に魔王様を倒すつもりなの?」

「……帰らせていただきます」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る