第22話 ギルドパーティ結成

 朝食を食べ終わったホークス一行はギルドの協会がある建物前まで連れ立ってきていた。

「何も皆で来ること無かったのに」

「ついでなので、どうせなら僕らも登録しておこうかと思いまして。ファンちゃんも来られれば良かったのですが」

 いつになく意気揚々と目を輝かせているマルネにホークスは不思議がる。

「幽霊だからな。昼間は表立って行動できないんだ。

 にしてもマルネ。ギルドに登録するだけだってのに、やけに嬉しそうじゃないか」

「い、いやあ。僕もこれでも特別クラスの生徒ですからね。

 ひょっとしたらひょっとする……なんてこともあるかもしれないじゃないですか!」

「ん?」

 今一つ要領を得ない回答に益々困惑するホークス。そんな彼らの後ろからニアが声を掛けた。

「いつまで扉の前で立ち話してるの? さっさと中に入りましょうよ」

「お、おう。そうだったな……」

 そう言いながら両開きの扉の取っ手を掴むホークスの手は震えていた。

「(こ、これが夢にまで見たギルド……前世では散々ゲームでお世話になったあの、憧れの!

 きっとこの扉の向こうには猛者共がうじゃうじゃいる事だろう。だが恐れるな、鈴木たかし。今のお前はもうあの引きこもりニートじゃない。ホークス・フォウ・ベリンバーなんだ!)

 ……いざ、オープン!!」

 ホークス以外の者には、たかがギルドの扉を開けるのに何をそんなに改まってるのか不思議でならなかった。


 扉の先に待っていたのは、ホークスが憧れた冒険者たちがひしめき合うような所では無かった。

「……あれ?」

 それはもう、整然とした事務的な役所そのもの。簡素ながらも清潔感のある石造りの部屋の中。ずらっと仕切り付きで並べられたカウンターを挟んで、ギルド職員と冒険者のエリアが区分けされている。壁に掲示板こそあれど、依頼書が張り付けられていることもなく、労災のお知らせやら安全強化月間といったポスターが張られているだけだ。

「ホークス様、どうしたんですの?」

 逆にどうすれば良いのか分からなくなっているホークスに、ネーテが顔を覗き込んで尋ねてくる。

「いいからほら、さっさと入ってよ」

 ウララにも催促され、仕方なく入るホークス。そんな右も左も分からないような彼に、奥から出てきた職員がカウンター越しに声をかけてきた。髪はきっちりと七三に分けられ、眼鏡をかけた中年の男性だ。

「おや、初めての方ですか? 今日はどうされました。ギルドへの登録でしょうか?」

 温和な物腰だが、口調はあくまで事務作業のそれだった。

「それとも仕事のご依頼でしょうか。でしたら、用紙がございますのでご記入を。あ、分かる範囲で結構ですよ。

 まあ、立っていても何ですからどうでしょう、こちらの椅子にお座りになって――」

「ちっがーう!!」

 次々と話して来る職員を前にホークスがキレ、ウララを始めとした一同もびっくりする。

「ど、どうしたのよ?!」

「どうしたのよ? じゃねえよ!

 ギルドだろ?! しのぎを削っては強者になった冒険者たちで溢れかえってるような場所だろここは! それに何で受付の人がこんな冴えないおっちゃんなんだよ!

 ここは攻略したくても対象じゃなくて悶々とさせてくる、そんなスタイル抜群のお姉ちゃんが手取り足取り優しくご案内してくれる所でしょうが!」

「どこの世界の話なのよそれ……何か別の夜のお店とかと勘違いしてない?」

 勢いよく意味の分からない指摘をされ、職員の男は「な、何だかすみません……」と謝ってしまう。

「くっそー……なあマルネ、こんな所でどう転んだらひょっとするようなイベントが起こるんだ?」

「イベント、という程大それた物ではありませんけど、登録をする時に本人の能力を測定するんです。それによって現在の自分のレベルとかも分かるんですよ」

「……は? れ、レベル……?」

 聞き慣れた単語に少し興味が出てきたホークス。すると隣にエマがやって来て自分のギルドカードを見せて説明してくれた。

「これがギルド協会に登録したら貰える会員カードです。ちなみに私のレベルは38。レベルというのはある種その者の強さの指針のような物です。知力体力は勿論、魔力や身体能力などが加味されて決まってきます」

「う、うおぉぉぉぉぉ! そうそう、こういうのだよこういうの!

 何だよ、ある所にはあるんじゃないかー。そうならそうと言ってくれれば良いのに……って、会員カード? 何かポイントとか溜めそうな感じだけどまあいい。

 そうか、マルネは体力はまだまだでも知力は相当なもんだもんな。それで測定するのが楽しみだったのか」

「え、ええ。あ、ちなみにレベルが低すぎるとギルドに登録は出来ません。けど、ホークスなら問題無さそうですね」

「おお、勿論だぜ」

 自信満々に答えるホークスに、ニアが後押しする。

「そりゃそうよ。なんせこの私とも互角以上にやり合えるんだし。あ、魔族でも測れる物なのかしらね」

「わたくしも測ってみたいですわ! ね、ウララさんも測りましょう?」

「え、私も?! う、うん……そうねー……」

 一連の会話を聞いていた職員が再び声を掛けてきた。

「えーっと、つまりそちらのお嬢さん以外の皆さんがギルド志望という事で宜しいでしょうか」

「そうなるかな」

「キュイキュイ!」

 と、これまでホークスの陰に隠れていたシロも飛び出して答える。が……

「あ、申し訳ありません。当施設は使い魔は入館NGとさせていただいておりますので、外でお待ちいただけますか? 動物アレルギーの方も稀にいらっしゃいますので」

「キュガーン!」

 あからさまにショックを受けるシロ。意気消沈し、仕方なくフローラと共にすごすごと施設を後にした。

「あ、なら私も――」

 と、続いて外に出ようとしたウララだったがネーテに止められる。

「獣人は大丈夫ですわ」

「そ、そうなんだ……あははー。良かった……うん、良かった……」


 数分後、職員はボーリングの玉程の大きさの重そうな球体の魔宝石を持ってきてカウンターの上に置いた。

「ふぅ。それでは、まずはどなたから測定されますか?」

「楽しみにしてたんだし、マルネが最初にやってもらえよ」

「い、良いんですか?! やったー」

 こういうところは年相応なんだな、とホークスも安心する。

「では、こちらの登録用紙にお名前を記入していただき、魔宝石に両手をかざしてください」

「はい」

 言われた通りに名前を記入した後、マルネは魔宝石に手をかざした。

 すると魔宝石に巨大な一つ目が開かれ、マルネの頭頂部と足元に魔法陣が展開される。魔法陣は互いに上下に動くと途中で交差し、頭頂部にあった物は足元へ。足元にあった物は頭頂部へと移動して消えた。すると魔宝石の目の中に同様の魔法陣が表れ、同時にマルネの登録用紙が光り輝き証明写真のごとくマルネの近影とレベル、職業が浮かび上がった。

「えー、マルネ・ブライラ・ターレントさんは……体力23、攻撃力16、守備力20、身体能力19、知力727、魔力88ですので、レベルは8となりますね。ギルドへの登録はレベル10からとなっておりますので、もう少し経験を積まれてからまたお越しください」

「あちゃー、やっぱりまだダメだったか……」

 最初から予測はしていたのか、マルネにあまりショックな様子は無かった。

「知力だけやたら高かったな……さすがマルネ」

「えへへ」

「次はどなたが測定されますか?」

「ホークスは?」

「俺は最後で良いよ」

「そ、それでしたら、わたくしが!」

 意を決したネーテが高々と手を挙げる。

「ではこちらの用紙をどうぞ」


「えー、ネーテ・オルヴィートさんは……体力207、攻撃力164、守備力183、身体能力201、知力112、魔力234ですので、レベル11になります。ギルドへの登録を受け付けます」

「やりましたわ!」

 職員の男が用紙の上を魔宝石の付いた指輪をはめた手ですっと撫でると、傍らに用意された会員カードに氏名や近影を始めとした情報がそっくりそのままコピーされる。

「へえ、コピー機もパソコンもいらないなんて便利なもんだな」

「コピー機? ぱそ……何?」

 ホークスが思わず呟いたのを聞いたニアだったが、何のことかさっぱりわからない。

「え、ああ。俺の故郷にあった魔道具みたいなもんさ」

「ふぅん。あ、次私が測ってみたい!」


「えー、ニアさん……って、まままま魔族?!」

 慌てふためく職員にホークスが声を掛ける。

「あ、この人なら大丈夫だよ。王宮からの許可も貰ってる」

「そ、そうでしたか。えー、こほん。体力612、攻撃力703、守備力644、身体能力798、知力456、魔力1330ですので、レベルは45ですね」

 それを聞いたエマがピクリと動いた。

「次、私も宜しいでしょうか」

「あれ? エマはもうカードあるんじゃないのか?」

「はい、ですがカードの更新はギルド協会へ来ないと出来ませんので。最近は何かと忙しくて全然出来ていませんでしたからね」

「そっかー。じゃあやってみろよ」

「はい」

 そしてエマが測定することになった。

「えー、エマ・プルアンドロさん。体力604、攻撃力1412、守備力532、身体能力1213、知力498、魔力312で、レベルはニアさんと同じ45です」

「な?! ……そ、そうですか……ありがとうございました」

 ニアより上だろうと思っていたが、意外と同じだったようだ。

「へえ、おそろいね!」

「そ、そうですね……」

 ニアは友達として嬉しそうにしていたが、エマはどこか腑に落ちない様子でちょっと悔しそうだった……

 しかしホークスは納得する。

「二人とも強いもんな。この前の連携の授業の時だって、ほぼ互角でやり合ってたし」

「そ、そうですね……」

「ねー」

「じゃあ、お次はウララ……っと、どこ行くんだ?」

 と、ホークスが声を掛けようとすると、そーっと入り口の扉の方へ向かうウララと目が合った。

「!!

 ちょ、ちょっと用事を思い出して――」

「大丈夫だって、すぐ終わるよ」

「んー!!」

 あっけらかんと答えるホークスに、ウララは必死にハンドサインで無理だと合図するが、ホークスには勿論、誰にもそのサインを読み取れる者はいなかった。

「(まずいまずいまずい。こんな測定されたら魔力なんて無いのがバレちゃうじゃない!)」

「どうしたんですの? 大丈夫ですわ。マルネでも測定出来たんですもの」

「(そ、そうじゃないのー!)」

「うん、別に痛いとかそういうのは一切なかったよ」

「(見れば分かるー!)

 いやあの、測定がというかお腹が痛いというか」

「まあ! 大変ですわ。今わたくしが治癒の魔法を!」

「――と、思ったけど治ったかなあ、うん、治ったかも――

(あーもー、どうしようどうしようどうしよう……)」

 いつになく狼狽えるウララを見てホークスはピンときてアイコンタクトを送る。

「(ウララ……そうか、お前魔力皆無だから……)」

「(気づくのが遅いわよ!)」

 とは言えどうしたものかと考えるホークス。今の流れでウララだけ測定しないわけにはいかない。

「(こうなったら、一か八か……)

 よ、よーし。じゃあ、ちゃっちゃと測っちゃえよ」

「あんた何を――」

 ホークスはスッとウララの手を掴んで引き寄せると、誰にも気付かれないよう、そっとウララの耳元だけで呟いた。

「一時的な物だろうけどな。魔力偽装マジック・ディスガイズ……」

 すると、握った手を通じてウララにホークスの魔力の一部が移されて行く。

「(何? このゾワゾワする感じ……これが、魔力なの……?)」

 ウララは二、三回自身の両手をまじまじと見つめながら握っては広げを繰り返し、測定用の魔宝石にその手をかざした。


「えー、ウララさんは……体力254、攻撃力183、守備力190、身体能力279、知力98、魔力……ま、魔力……58997?!」

「やばっ」

 ホークスは魔力を送りすぎたのだと一瞬で理解した。余りにもの桁違いに一同はぎょっとしている。

「ま、魔宝石の故障じゃないかしら……?」

 魔族であるニアを軽く上回る。このウララが……それが皆の見解だったし、何よりウララ自身がそう思っている。職員の男も思わず噴き出した額の汗をハンカチで拭いながら魔宝石をまじまじと見つめていた。

「お、おかしいですね……まあ何分古い物ではあるので何かしらエラーが出たのかもしれません……もう一度測ってみましょう」

 すると、ホークスがウララの肩に手を置いた。

「落ち着いてやれば大丈夫だよ」

 さらに小声で続ける。

「……魔力吸収マジック・ドレイン……」

 こうして再び測定した結果……

「……魔力、97。レベル11ですね。ギルドへの参加を認めます」

「ふう、やれやれだぜ」

「あんたねえ……でも、ありがとう」

「良いってことよ。さあ、最後は俺の出番だな!」

 一同が期待の眼差しで見守る中、満を持してホークスが手をかざした。そして次の瞬間――。

「ビシィッ!!」と魔宝石に思いっきりヒビが入ったかと思うと、その隙間から強烈な光を発して粉々に四散してしまう。

「ひぃっ!」

 流石のホークスも想定外の出来事に身を引いてしまう。

「どど、どうなってんだよ……」

 奥から他の職員たちもやって来て不思議そうに集まって来る。

「やはり古い物のようですし、壊れていたのでしょうか」

 エマもこんな事は初めて見たと腕を組んで考える。

「マジかよ……す、すみません、何か壊しちゃったみたいで……」

「ああ、いえ。予備はいくつかありますから大丈夫ですよ。それよりお怪我は無かったですか?」

「あ、はい。ありがとうございます――」

 そう応答していたホークスの腕をウララが掴んで部屋の隅に連れて行った。

「ちょっと、良い?」


「何だ? こんな所に引っ張って来て」

「魔宝石が割れた原因、あなたの魔力に耐えられなかったのよ」

「え……」

「ホークスさん、あなたは既にこの世界に於いて最も魔力を所持しているの。それを忘れてないわよね? しかもその量は大魔王にも匹敵するかもしれない程」

「あ、ああ……」

「そ・こ・で。はい、こちらをどうぞ!」

 そう言うと、ウララはポケットから取り出した二つの腕輪を差し出した。金に光るシンプルなリングだ。

「これは?」

「魔力制御郎よ。大きすぎる魔力ゆえに、いつか私生活とかでも支障があるかもと思って、時空管理局にいる私の相棒がよこしてくれたの」

「な、名前はともかく、つまりこいつがあれば出力が制限されるって事か」

「ご明察」


 しばらくして予備の魔宝石が運ばれてくると準備が整い、再びホークスは腕をかざした。

 腕に光る腕輪にネーテが気が付く。

「あら? ホークス様、そんな腕輪されてました?」

「あ、ああ。あんなことがあっただろ? その、心を落ち着けるお守りみたいな物だよ。ウララが貸してくれたんだ」

「まあ、そうでしたの」

 ネーテはやはりウララもホークスの事が好きなんだな、くらいにか思わず、それ以上は詮索してこなかったし他の者も同様だった。

 そして今度こそ割れずに測定結果が出る。

「えー、ホークス・フォウ・ベリンバーさん。体力530、攻撃力644、守備力698、身体能力545、知力219、魔力……5013……レベル76……壊れてませんよね……?」

「まあ、ホークスならそのくらいじゃない?」

 疑惑を払拭できないでいる職員にニアが言った。そしてネーテも。

「そうですわ。何せホークス様はわたくしの兄、レクト・オルヴィートにも勝利しましたのよ?」

「レクト……あの親衛隊長のですか?!」

 驚く職員にマルネが更に情報を出す。

「他にも、先日の魔獣襲撃の際にもフォルター王子と共闘して数多くの魔獣を倒してましたし」

「な、なんと……いやはや、御見それしました。それでしたら納得も行くという物。しかしまだ学生なんですよね? いったいどちらでこれ程の御力を」

「え……こ、故郷の方に何て言うかまあ、宝石? を使って次々と襲い掛かって来る魔物を倒すダンジョンがあって、それを毎日のように……」

「なるほど、魔宝石を使って……」

「あ、あはは。まあそんな感じです……」

 乾いた笑いで誤魔化そうとしているホークスを横目に、ウララは「まーたゲームの話してるな」と思っていた。


「何はともあれ、マルネさん以外の皆さんはギルドへの登録が完了しました。おめでとうございます」

「どうも」

「ちなみに皆さんでパーティを組まれる予定でしょうか?」

「え、パーティ?」

「ええ。どうやらエマさんもパーティには加入されていないようですけど」

 話を振られたエマが前に出てくる。

「私はこれまで師匠の元で修行をしていた身でしたので、パーティへの加盟は考えていませんでした」

「そうか……ちなみに、パーティ作るって言ったら入ってくれるのか?」

 不安そうにエマの顔を見るホークス。しかしエマは笑顔でそれに応える。

「入ってくれるも何も、これからエクスレントに一緒に赴いてくださるんですよね? そんな恩人の頼み、断れる訳がないじゃないですか。むしろ私の方からお願いしたいくらいです。

 ホークスがいれば、どんな敵にも負けない気がします」

「エマ……」

「あ、ずるーい。私も入れてよね」

「わたくしもですわ! 後方支援は任せてくださいまし!」

 すかさず入って来るニアとネーテ。

「二人とも。ああ、心強いよ!」

「なら、私も入らないとよね。なんせネーテを守らないとだし。エマの故郷の事も気になるしね」

 ウララも当然のように入ってきた。そんな様子を見ていてマルネがほほ笑む。

「良かったですね、ホークス」

「ああ! マルネももっと強くなったら入ってくれるか?」

「良いのですか?! わあ。実はギルドパーティって少し憧れていたんです。その時はぜひ!」

「おう。男同士の約束だ」

「はい!」

 と、話もまとまりつつあり、その様子を見極めて職員の男が声をかけてきた。

「では、ホークスさんがリーダーという事で宜しいですか?」

「ああ、問題ないぜ」

 一応他の皆の顔も伺い、誰も反対していない確認をした。それぞれ首を縦に振り、ホークスの就任を歓迎しているようだった。

 そう、彼女たちが現れるまでは――。

「面白そうな話をしているわね!」

 突如入り口の扉を勢いよく開けて入ってきたのは、あの生徒会コンビだった。

「げっ、生徒会長とアマスさん」

「協会へ治安の確認に来てみれば、皆さん揃って何をしでかすつもりなんですか?」

「しでかすって……これから俺たち、エマの故郷のエクスレントに魔族倒しに行くんですよ」

「成程。どうします? 会長」

「どうするも何も、決まってるわ! ホークスくん、私たちもあなたのパーティに入れなさい! そして皆で行くの!」

「いや、でも会長。学校ありますよ?」

「わが校の生徒の故郷が魔族に襲われて困っているなら、生徒会としても放っておけないのよ!」「立派ですわ! 会長!」

「ふふん。誉めて誉めて。

 さあ、ホークスくん!」

「いや、いきなり来て「さあ」って言われても……さすがに危ないですよ?」

「心配ご無用!」

 するとミリアはバッと自分の会員カードを出して見せた。

「れ、レベル80?!」

 一同覗き込んで驚愕する。

「た、ただのちびっこ生徒会長じゃなかったのか……」

「あー! またちびっこって言うー!」

「……ま、まあ、戦力は多いに越したことは無いのかな……皆は、良いかな?」

「わたくしはホークス様がお決めになられたなら異論はございませんわ」

「私も、生徒会のお二人が助けてくれるならかなり助かると思う」

 ネーテとエマは好意的だった。ウララも頷いてくれる。そしてニアも。

「良いんじゃない? 女の子ばっかりで魔王にカチコミに行くなんて、ハーレム王としては何も間違ってないじゃない」

「は、はーれむ? ねえアマス。はーれむって何?」

「ウフフ。さあ、なんでしょうねー」

 考え込むミリアに対し、面白おかしくはぐらかすアマス。

 そしてしびれを切らせて職員が尋ねてくる。

「あのー、何でも良いのでギルド名を決めるか後にするかだけでも――」

 しかし意外な事にホークスの答えは決まっていた。

「おっちゃん、俺は決めたぜ。たった今ここに、「神焔の騎士団」の結成をここに宣言する!」

 一同が「おぉー!」と感嘆する中、ウララだけは冷静に突っ込んだ。

「騎士なんてどこにもいないじゃない……」





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