16・再会
社会人になると、時の流れが早くなるというのは本当だった。
僕は毎日、スーツを着て、電車に揺られ、淡々とした毎日を送っている。
淡々と・・というのには語弊がある。
電車の顔ぶれと同じように、毎日、それなりに色あいがある日々を送っていた。
日々の作業に流されているようで、お客さんや電車であう顔や上司の顔色や、その日その日によって色が違っていて、僕はとても充実した毎日を送らせてもらっている。
その中で、あのマリの存在は、まだ心の片隅でくっきりしている。
宝くじを見るたびにマリを思い出していた。
マリの祖父母と時々マンションで顔を合わせるが、マリがどうなったか。僕はあの人たちに聞けないでいる。 僕にも何も言わずに離れて言ったマリに、どうやって近づいていったらいいか分からなかった。
あの、マリの家で、会ってから10年が経って、そして。
再会の時は、いきなりやってきた。
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