15話 汐里くんのその後

 結論から言うと、マリとは、あの時、キスしただけで終わった。


あのあと、僕は付き合っていた彼女と別れた。

それでもその彼女とは塾で顔を合わせるので時々言葉を交わしていたが、お互いに受験を控えてる時期もあって、お互いにそれもなくなった。

マリといえば、あれから学校にそのまま来なくなってしまった。

一か月もんもんとしたままマリの家に行ったが、マリは出て来ずに、マリの祖父母という人達が移り住んでいて、マリには会う事はなかった。

写真部の顧問であり、カウンセリングの先生から、マリは転学したと知らされた・・・。


整形もしたいし、転校もしたい。


そういっていたマリは、すべての自分を捨てて、自分から、ここから旅立つつもりだったのだろうか。


整形なんてするな、行くな。


僕がそう言っていたら、マリは行かないでいてくれたのであろうか。

たった一度だけ、キスしただけの、おさなじみの僕の事はどう思っていたのだろう。


後悔ばかりだ。


 宝くじ、当たったのだろうか。

ふと、定期的に気になる事はある。当たったらマリの本望だし、当たらなくても。


あの大人しいだけだったマリが、相当な覚悟を決めて飛び立てたのなら、それでいい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る