8 宝くじ買った事が・・バレちゃった!?
行こう。
僕は気が付いたら、仲里マリの家の前まで来てしまっていた。
これは決してストーカーではない。帰り道の通り道だからだ。同じマンションだからだ。というより、僕の家が二階で、マリの家は一階で、僕の家に一番近い階段にいくには必ずマリの部屋の前を通るのであった。
もちろん、階段はここだけではないし、マリの部屋の前を通らないで家に帰るルートはこの広いマンションでいくらでもある。僕がマリが毎日学校に来ているかどうかなんて、マリの方を見ているのは宮原さん(写真部部長)にばれているし、付き合っている彼女には勘繰られているし(というよりちょっとメールの返信が遅れただけで疑ってくる)、彼女の変な誤解を招くのを防ぐためにはにはマリに会うのは避けたいのであったが、今日は用事があったので、ここに来た。僕はチャイムを押した。
「はい。」マリの声だった。
マリは、3日も学校を休んでいた。こんなに休むのなんて初めてじゃないか。 マリの家に行くのは、小学校以来だった。(おさなじみだから)
マリは、僕を確認すると、すぐに玄関から出てきた。ずっと家にいたのがすぐに分かるくらいマリはラフな格好だった。上も下も、グレイのスウェットを来て、赤いふちの眼鏡をかけていた。
「これ。」
マリが出てきた瞬間、僕は顧問から預かっているA4サイズの封筒を差し出した。
「顧問から、お前が使ってる鍵付きの引き出し。なんか違う所で使うみたいだから全部出させてもらったって、中身仲里に渡してって。あと鍵返してって。」
マリが引き出しの中に私物を入れていたのは知っていたが、以外にも入っていたのは少しの文房具とノートくらいだった。
「わざわざ・・・届けてくれたの?。」
マリは言った。
僕は、もう一つ封筒を出した。
「これ。宝くじ。今月末に結果分かるやん。大金に変わるかもしれないし、俺預かれないから、早く返したくて渡しに来た。」
そう。これは口実だったけれど。マリの顔色が変わった。「・・・これ・・・見たの?中身。」気まずそうな空気が流れた。どうやら、これはマリの秘密だったらしい。「うん・・・。」見てないものを見てないとは言いにくかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます