6 「汐里くん」彼の視点

 汐里くんってかっこいい。

何度も言われ過ぎて、どう受け止めて言いか分からなくなった僕は対処に困り、机を取り囲んでいた同じクラスになった女たちにこう言った。

「この学校の女には、俺興味ないよ。」

そんな事を言った気がする。そしたら、狙い通り、誰も僕に寄り付かなくなってしまった。しまった、というのはごへいがある。僕はこれでよかったのだから。

しかし、仲里マリの場合は違った。

仲里マリは、そんな事を言った僕に対して、変わらず接してくれた。ああ、はいはい、と言った態度であった。そして、明日も次の日も僕に話しかけてくれたのである。いや、当然かもしれないが。僕は、彼女と同じ写真部に所属しているのだから。それと、仲里マリとは、幼馴染みであった。幼稚園の頃からの仲である。彼女と話すと、どうしても幼い頃一緒に走り回っていた記憶がよみがえり、そのままの感覚でいるため、どうでもいい事で笑いあったりできるのだろう。

 そんな彼女が、ある時、すごく暗い顔をして、部屋に入ってきたのである。

「ああ・・・・・・・・・。」

彼女は深いため息をついて、部室の長椅子に倒れこんだ。スカートがめくりあがってもう少しでパンツが見えそうだった。肺活量どれくらいだよと突っ込みたくなるくらい永遠に続きそうなため息だった。

「どうしたの。」

隣で大きなためいきをついて泣きそうな顔をしていたら、そう聞くしかなかった。

「お金が欲しい…。大金が欲しい・・・。」

なんだか声が半泣きだった。

「なんで?。」

お金が欲しいなんて僕だって常に思っている。というより世間の人々は大体そうだろう。しかしそんな願望をわざわざ口に出して言うからには何か壮大なお金を使いたい用事があるのだろう。そこには興味があった。

「・・・・学校辞めたいんだ・・・。」

はぁ・・・・。と彼女はため息をつく。

辞めてどうするん、と言いかけて僕はやめた。どう声をかけていいか分からなかった。マリが、虐めにあっている事は同じクラスメイトであり、部員でもある永原さんから聞いていた。いじめといっていいのかは分からないが、何かもめ事が起こるたびにマリのせいにされ、標的にされているようだった。

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