2・宝くじにのせる夢
宝くじはすんなりと私の手にやってきた。値段も一枚200円とは聞いていたが、本当にその値段で買えた。最高金額七億円なのに、それを手にするチャンスがたったの200円なんて本当に当たるのだろうか。テキヤの糸でおもちゃを引っ張る「あみだ」と同じでどの糸も商品とつながらない仕組みになってるんじゃないか・・・と良からぬ疑いの目をしている事が売り場のおばさんにばれてしまっただろうか。
とりあえず、その宝くじを鞄の中に入れ、トイレに駆け込みわたしはガッツポーズを決めてしまった。ついついドラマのワンシーンのような事をしてしまったが、これがドラマではないが私はやる。やらずにはいられないのだ。
これで7億円を手に入れる機会を私は手に入れたのだ!。
べつに7億円までとは言わない。1千万くらい当たればいいのだけども。神様はそんな厚かましい願いを叶えてくれるのだろうか。
ほくほくした気持ち(になった事はないけど、きっとこんな気持ちだろう)で学校に向かう。今は3年生が期末テスト中なので私達は授業は休みなのだが、私はそこに行かずにはいられなかった。そして、体育館裏のプレハブ小屋に入っていった。埃っぽいが、立派な写真部の部室だった。見た目はぼろい造りの小屋だったが、ドアはちゃんと鍵が付いてるし、ドアを開けてすぐの窓はバオバブという葉っぱが新鮮な観葉植物が置いてあったり、花がついたサボテンもあり、可愛くしてあった。最近私が持ってきたカーペットで少しだけ華やかになった部室の中には、ちゃぶ台のような机がありその上には写真部らしくどっさりアルバムが束となって積まれていた。そしてそこに埋もれるように汐里くんが寝ていた。
しおりくん、しおりくん。
私は胸の中で汐里くんに声をかけるのだった。
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