第2話 インキャラ転生するってよ。
鋭い閃光は俺のすべての感覚神経の情報を奪って去っていった。意識が朦朧としていく。
どういう状況だ! なにが起こった、
必死にもがこうとしてみるが水中にいるように叫ぼうとした声は空気を震わすことはなかった。
ただ底のない地面の下の下にまっすぐと落ちていっているような感覚だけは覚えている。
「う、うぅ」
あれからどれくらいの時間がたっただろうか。声高に訴えたそれは拙い呻き声となって空気と触れた。
眼前には淡白で、それでいて面妖で不思議な光景が広がっている。初めてであるはずなのになんとも懐かしい気さえする。
「全身がほのかに暖かい」
全身を包み込むような 強いて言うならお母さんのお腹の中にいるような、そんな感覚に身を委ねていた。
再び意識が朦朧としていく。
「こ、ここはどこだ!!」
あれからどのくらいの時間が経っただろうか。
[起きてください。起きてください。]
「ん!? はっ、!」
心の中で誰かが俺を呼ぶような声が聞こえて目を覚ました。
「い、いたい。」
あの鋭い閃光によって奪われていた全ての感覚がもとに戻ろうとしているために全身に急速な負荷がかかっているのだろう。
俺はしばらくそこから動くことが出来なかった。しかし、しっかりと見開いた眼前には澄み切った青空、悠然な大地、颯爽とした風の音。花の芳香。全ての五感が愛おしく思うほど感じることができた。
「とても心地良い」
自分を包み込む全ての環境が自分を肯定してくれているようなそんな気がした。
ごぉぉお ごぉぉぉぉ おぉぉぉぉぉぉおお
空間を切り裂くような凄まじい轟音が鳴り響いていた。
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