第41話
マンガの本をダンボールに詰め込むと、
「よし、これで奇麗に片づいたな。あとは解体したときについでに処分してもらえばいいものばかりだ」
そういい終えた金太は、突然ノッポを小屋の外に呼び出した。
「どげんしたト?」
ノッポはなんのことかわからないまま金太のあとについた。
「で、アイコに気持ちを伝えたのか?」
金太は振り向きざまに眉間に皺を寄せて訊く。金太はノッポのことを嫌いではなかったが、自分の気持ちを素直に出さないところだけは受け入れられなかった。
「……?」
ノッポはなんのことか見当がつかないといった顔をする。
「だからァ、おまえアイコのことが好きだっていってたろ? それでデーモンと相談してボーリングに誘ったり、きょうこうしてわざと時間を遅らせてチャンスを作ったんじゃないか」
金太はじれったくなってつい強い口調になってしまう。
「おかしいとは思ったけん……そういうことやったんか。いやさっき小屋でキミたちば待っとお間アイコと少し話す時間ばあったけん、いろいろ話した。ばってん、アイコはどうやら金太のことば好いとおらしか」
「まさかァ。なんでオレなんかを好きなんだよ。おまえいい加減なこというんじゃないよ。いくら親友だっていっても、許さないからな」
金太が動揺しているのは明らかだった。
「嘘やなか。そんなに疑うんやったら、ここにアイコば呼んで直接聞いたらよか」
ノッポは嘘をついていると思われるのが嫌だった。
「まあそうだとして、おまえはそのまま福岡に行くことができるのか?」
金太は、これまで見せたことのない顔でノッポの顔を見る。
「しかたなかろうもん。ボクにはアイコをこっちに向かせることができん」
「じゃあ、あとになって絶対後悔しないと約束できるか」
金太はノッポに後悔させたくなかった。
「ああ。これはボクの大切な思い出としてずっととって置く」
ノッポは少し涙目になっているようだった。
「それでいいんだな? わかった」
金太は、念を押すようにしてから小屋に戻った。
「どうかしたの?」
アイコが心配そうに訊く。
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