移住

第20話 私の為に争わないで

地球から天球に交信可能な探査機はすでに到着している。

だが誰が交信するのか?


例えば国家同士なら国の代表だろう。

では星の代表とは誰か?


戦争状態では、

どうやって決めるかすら定まらない。


しかし、すでに交信可能な探査機は到着している。


決まっていないものは仕方がない。

株式会社月光は、あえて決まる前に行動しているのかもしれない。


今回も全世界生中継で交信が行われた。


月光社長のマヒナは天球人アキに提案する。

マヒナ「地球へ来てみたくないですか?」

アキ「行きたいと思っている者もいるだろう」


この二人の会話は些細な世間話の様であるが、

事前にお互いマウの説明によって、立場、状況を把握している。


地球一の大企業社長と、数千年生きている哲学者の会話である。


マヒナ社長は多くの地球人を天球に送りたかった。

新たな入植地、貿易地として。


マヒナ「とても複雑で大きな乗り物が必要です

作り方をお教えする者を送ります」


アキ「ではマキという者の所まで来るといい

後で通信するように言っておこう」


天球人の暫定代表、哲学者アキの意図を知る者はいない。



天球人は地球人と交流してもいいと思っている。

この事実は月光の事業に大義名分を与える。


なぜなら仮に交流を妨害すれば、

天球人に対し敵対行為をする事になると解釈できるからである。


長年の戦争の原因の一つ、交流するか否か。

そこに新たな当事者、天球人が加わった。


そして天球人は交流を望んでいる。

また、地球は戦争に疲れ切ってもいた。



交流・干渉の否定派グレートウエスト共和国は、

天球人との交信権利を得る事を条件に停戦に応じた。


天球人アキの言葉も重く響いた。

アキ「戦争を止めなさい」

発言は私の為に喧嘩を止めて、、という気持ちか。

あるいは絶滅危惧種を保護するような気持ちか。


どちらにせよ異星人に止めろと言われるインパクトは大きい。

しかも隣の星の当事者である。

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