第21話 交信するジャイアン
今回の宇宙船には男女合わせて10人が押し込められた。
目的は天球で一人でも多く生き延びる事。
天球製宇宙船を作るにしてもすぐ死なれては意味が無い。
健康と衣食住無くして働けないのが地球人だ。
しかし、10人中生き残ったのは一人だけだった。
マウと同じ人種の女だけ。
マウと同じ人種の男もいたが、皆死んだ。
やはり天球特有の微生物が居る。
それに対抗した抗生物質とワクチンを開発せねば移住は不可能。
この結果を踏まえ、
次に発射されたのはマウと同じ人種10人が乗った宇宙船と、
マウ達から少量の血液を持ち帰る往復宇宙船だ。
■
次々と死んでいく地球人を見て天球人のアキは交信でこう言った。
アキ「一つしかない命を懸けてまで欲しい物が天球にありますか?」
月光社長が答える。
マヒナ「天球の生命の謎を解く事で地球人の生活に役立つ物が必ずあるはずです」
アキ「我々と違って一つしかない命が失われるのを見るのは辛い物ですね」
マヒナ「皆覚悟を持って出発しています。死を無駄にしない為にも協力をお願いします」
アキ「時間を掛けて薬を研究してはどうですか?」
マヒナ「地球人は現在70億人ほど居ます。今も命が失われています。
医療の発展こそ、最も大切で、なにより急ぐ事なのです」
アキ「そうですか。では望むだけの長寿を得た時に、
どうするのかも考えておいて下さい」
マヒナ「その時は天球人の皆さんの生き方を参考にさせて下さい」
アキ「いいでしょう。」
■
この会話はアキの布石である。
地球人は無計画に人口爆発させている。
勝手に増えて勝手に困っているのだ。
バッタやイナゴの大量発生のようなもの。
しかも自由だの理屈をつけて正当化し、一人でも殺されれば報復するだろう。
質が悪い。
侵略してくるかもしれない異星人、それが地球人である。
アキはそう認識していた。
逆に、
天球人は生活に困っていない。
地球への興味は純粋な知的好奇心なのである。
アキは予防線を張ったのだ。
無駄に増えてくれるなと。
■
一方、停戦に応じる事で天球人と交信する権利を得た
非干渉派グレートウエスト共和国。
その天文台GWOの天文台長、佐藤博士は初の交信でこう言った。
佐藤博士「天球の物は天球の物です。地球人は何も持ち帰らないと約束しましょう」
非干渉派は干渉派の株式会社月光をけん制する。
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