天球人

第14話 天球人の生態

マウがこの50年間で接触した天球人は主に四人。


最初はミキ。

好奇心旺盛で地球の言語を一早くマスターした。


次にアキとマキ。

地球人の文化、科学に興味を持っている。

三人は数年でマウから教わる事が無くなった。

天球人の知能の高さはかなりのものだったのだ。


そして、

残りの数十年、最も長く共に過ごしたのがシキだった。



シキはドラゴンを倒したいと夢見ていた。

シキは根っからの狩人であらゆる動物を狩っていた。

残るはドラゴンのみ。


しかし、ドラゴンだけは別格に強大でまるで歯が立たないでいた。

そもそも、天球人とドラゴンの実力差はどのくらいなのだろうか?



まず、天球人は地球人よりも小さい。

平均1メートルほどの身長で、体重は10キロほど。


そもそも天球人は動物ではない。

植物だった。


果実が進化した「動果物」とでも呼ぶ存在だった。


知能を蓄える脳は親木にも有り、経験や知識は共有されている。

天球人が長寿なのは死んでもまた果実として親木から実るからでもあった。


天球人は眠くなると親木に戻り、木の穴の中で眠る。

その際に知識や経験が共有される。


決死の冒険をする覚悟も事前に共有され、

もし生還しなければ親木は新たな果実、

同じ知識を持つ天球人を産み落とす。


親木が枯れたり倒れた場合は、

寝床を失った天球人が森の中で眠り、

親木へと変化する。


動果物の生態では知識が失われる事はほぼ無い。

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