第7話 天の川
異星人の文明に干渉してよいのか?
母星での議論は真っ二つに分かれている。
マウが所属する宇宙公社月光は探査ミッションを強行した事でわかる通り『干渉派』だ。
二重惑星と言う環境下で隣の星を無視する事は出来ないと主張している。
この意見に反対する『観察派』は、
接触による天球の環境破壊、植民化、移住を拒否している。
その観察派はおのずと月光と競争している大国を支持、支援する事になる。
大国グレートウエスト共和国、その天文台GWO。
GWOは特に望遠鏡と人口衛星の開発に力を入れていた。
月光の恐ろしさ、それは無人探査機すら到達していない天球にマウを送り込んだ先進性だろう。
マウを生き延びさせる為ならば何でもする。
■
天球人に届いたオルゴールには地球に人類が居る事が描かれている。
そして天球人達は川の対岸にその人類の一人、マウを見つけた。
天球人側に接触したい好奇心が有っても、対岸にはドラゴンが居て近付けない。
この距離感は『観察派』にも『干渉派』にも好都合だった。
天球人にとっても。
しかしドラゴンだけは違っていた。
次第に減るエサ場から、川の対岸に居るエサを狙っていたのだ。
上流に移動し、自身の体が渡れる所を探す。
そして雨が降らない日が続き、水位も下がり始める。
■
ある朝、マウが対岸を見るとドラゴンは対岸に渡っていた。
地球では絶滅した恐竜は天球では更に進化し生態系の頂点に立ち続けている。
石器では強固軽量に進化したドラゴンの外皮は傷つかない。
天球人はまだドラゴンに対抗する手段を持っていない。
その日以来、対岸に居た天球人の数が減っていった。
逃げたか食われたか。
マウも対岸へ渡る。
知的生命を追って。
対決の時は迫っていた。
地球でも天球でも。
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