設定回「この世界の片隅にいる魔法職について」

設定集とか、用語辞典とか読んでニヤニヤできる人以外はスルーして下さいませ。

読まなくともストーリー理解になんら問題はありませんし、興味のある項目だけ拾い読みがオススメです。4000字超えてますし……。



『往きて帰りての法則』はみけの解説パートでなくこの回で。


最初の2項目だけわりと重複情報あり。


--------------


【魔法使い】


シルシと呼ばれる特徴的なマークを体に持って生まれる人で、基本的に遺伝する。

つまり魔法使いになるには親が魔法使いでなければならない。

子供のころから簡単な魔法なら扱え、まわりからチヤホヤされ……と、長じて高慢になるものが多い。

また、生まれながらに不思議な力が使え、それだけで生きていくには不自由ないため、「なぜ」魔法が使えるのか、この徴はなんなのか

といったことを深く探求する魔法使いは少ない。

逆に、探求に乗り出した者を魔術師という。


【魔術師】


魔法の「なぜ」に乗り出した魔法使い。

持って生まれた徴の改良や、魔法の分析、さらなる改良など日夜研究や修行に明け暮れる。

この世界では少数派。

徴の改良はまだまだわからないことが多く、危険がともなう。

記憶の欠落や廃人化、ひどいのになると魔力の過剰摂取オーバードーズで爆発四散など。

魔術師を目指す魔法使いが少ないのも納得である。


作中登場する強力な魔術師に外方げほうな連中が多い理由のひとつ。



【魔法】


想像イメージ感覚センスで魔力などを操り、不思議な現象を起こすこと。

ジェレマイアや師匠はまれびとのため、元々魔導書グリモワールなど読めず、自然こちら派になる。

他にはアスタルテ、イリム、弓使いのカイランもこちらに該当。


ユーミルはシルシは魔術師だが、魔力の使い方はこちら。


魔術との違いとして、近いセンスの者でないと継承が難しい。

なにしろ当人が「こんな感じで、ぐいっと固めて、いっきにぶち込む」レベルの説明しかできないことも多い。


願うこと、祈ることで誰に教えられずとも起こせる『奇跡』は、魔法の一種ではないかと考える者もいる。


【魔術】


魔法を正しく分析し、解体し、ある種の計算や法則によって不思議な現象を起こすこと。

この世界では一度体系が失われ、その後再興したがまだまだ新しい技術。


アルマ、ニコラス、リディア、賢者、砦のオスマンが該当。


みけはシルシは天然モノだが、魔力の使い方はこちら。


体系化や術理がしっかりしており、学問として継承しやすい。

よって時代が進むにつれ魔術のほうが優勢になると思われる。




●『魔法の矢マジックボルト』--------------------------------


この世界で最も有名にして初歩の攻撃魔術。

魔力を純粋なエネルギーとし、多くはボルト状にして撃ち出す。


基本にして最強とも言われ、家系や魔術師によってさまざまなタイプがある。



・アルマ

初歩レベル。矢のサイズを撃ち出し、それなりの誘導性を持つ。

彼女はMP上限が低く、扱える魔法は初級まで。

だが、クールタイムが短いので日に撃てる本数はかなり多い。


・ジェレマイア

特級レベル。ある死神は「雷光を帯びた白い竜が、唸りをあげて噛みつこうとしている」と評した。

100%の追尾性を持ち、よほどの『防護プロテクション』か防御技でないと対処不能。

彼はコレを7本まで同時に射出できる。ビンゴ!


・みけ

上級→特級。白いレーザービーム状の攻撃で、もはやボルトの面影はない。

彼女の有り余るMPにより、加工した魔力をそのままぶっ放している。

『しねしね光線』への改良により、太さも色も変化した。

本人の意図通り、『指差しの呪い』も同時に発動しているため、ビーム自体に『疾病ペイル』の呪いがこめられている。

誘導性はまったくない。


・ユーミル

中級レベル。

鎖や巨大刃ギロチンによる攻撃、各種指差しの呪いの方が彼女にとっては低コストのため、作中出番がないがいちおう使うことはできる。


初歩レベルの矢に、若干の呪いを織り込んだもので、呪いは好きなものを選択できる。

攻撃+バステ付与なのでゲーム的には強そうだが彼女いわく「中途半端」。


作中のキャラがみな強いので感覚がマヒしてくるが、このレベルの術式を扱えるだけでじゅうぶん一人前。



・リディア(スピンオフの主役。ユーミルの姉貴)

特級レベル。

ヒトひとりの魂を贅沢にも一発のボルトとして撃ち出し、高い威力と誘導性、呪いの力を持つ。込められた呪いは『出血ブラッドレス』であり、直撃すれば全身から血を吹き出して死亡する……のだがその勢いが凄まじく、多くは体が爆散する。


・エディス(スピンオフに登場。先代アリス。実は本編にもチラッと……)

中級。

釘のような太矢に魔力をまとわせ、高い誘導性をもつ。見た目や攻撃の動作は地味だが万能の魔法的物理属性であり、『防護』『矢避け』を容易に抜ける。

練度も高く、かつ防ぎにくいためとても有能な術なのだが、ダメージがイマイチなため中級にカテゴライズされる。

ちなみに彼女はボルトではなく『魔法の矢マジックミサイル』と呼んでいる。




【錬金術師】


魔術師から派生して誕生したもの。魔術師+科学者と思っておけばだいたい間違いない。

この世界の錬金術師は、魔法をただの不思議な力と受け止めているこの世界の人の意識を変えたいと思っている人が多い。

実験やそれによって生み出されたアイテムで魔術を起こす者が多く、なかにはシルシを持たない錬金術師も。

アルマもシルシの才能はそこそこだが、薬瓶により攻撃特化の魔術師に匹敵している。


フラメル家は錬金術師の家系でももっとも古く、もっとも有名。



第五原質エーテルの操作による『属性変換コンバート』について。

下の表の、+にあたるモノがエーテルです。

各要素、属性をくっつける糊のようなものですね。


上昇属性△


第一質量プリマ・マテリア + 熱 + 乾 = 火

第一質量 + 熱 + 湿 = 気


下降属性▽


第一質量 + 冷 + 湿 = 水

第一質量 + 冷 + 乾 = 土



【精霊術師】


古代にいた者、今はほぼ絶えた者。

偏在へんざいする精霊の力を借り、強力な現象を引き起こす。

なにしろ「魔力使い」は基本的に個人の扱える範疇はんちゅうで術を起こすが、「精霊術師」はまわりの精霊たちの力を借りて術を起こすのだ。

扱えるチカラの量に圧倒的な差がある。


もちろん、これは熟達した者の話であり、初歩では弾数が多いな、威力がすごいなぐらいの差でしかない。

そして弱点として、その場の精霊の多可に強さが左右される。

雨の日に火の精霊は少なく、水中では皆無(海底火山や噴出孔には逆に多い)


また基本的に男性は火と風、女性は水と土の精霊と相性がいい。

これは風竜と火竜が男性、土竜と水竜が女性なこととも関係する。


竜骨・師匠=火

風竜・勇者=風


土竜アスタルテ・イリム=土

水竜アナト・リディア=水


氷竜婆さん・氷の魔女=水(四大属性では水に分類)


【シャーマン】


原始的な精霊術や死霊術を扱うものたちで、文明圏から外れた地域に多い。

こちらの世界でいうと口寄せを行うイタコや、雨乞いの巫女であるヒミコなどに近い存在。

基本的には精霊術師や死霊術師の下位互換だが、長期にわたる天候を読む、すでにこの世から離れた霊をこの世に呼び寄せる、など

彼らにしかできない芸当も数多くある。

定義がわりとあやふやで、例えば動物霊を自身の身に降霊させるシャーマンや、祖霊の加護をまとった者は死霊術師ではないかという意見もある。


本作及びスピンオフでは褐色巨漢の弓使い、カイランがこれに該当する。


【死霊術師】


死者の霊や、死という現象そのものを扱う魔術師。

祖霊や動物霊を扱うシャーマン、呪い師に近いものから、人体研究など科学者や医者に近いものまで、わりと広い範囲を含む。

おおむね前者は善性のものが多く、後者は悪性のものが多い。


街や村など文明圏での扱いは悪く、処刑や追放の対象であることも。

ちなみに彼らも魔法使いと同じく徴を持って生まれるが、霊の力を借りるという点では精霊術にも近い。


特に素朴な呪い師や部族のシャーマンなどはシルシなしで、起こす術も些細ささいなものである。

研究者系の死霊術師は徴の改良に乗り出すものが多く、倫理感もないにひとしいので、結果としてノーマルな魔術師よりも危険である。



【信仰術・奇跡】


唯一神から授かる、とされるもの。


魔術に比べると柔軟でふわふわした効果や(ウィッシュなどの祈願、努力や運、成功の後押しなど)一般人の助けになるもの(雨乞いや雲払いなど)が多い。

しかし、魔法で真似できないものもあり、奇跡が神聖視される要因でもある。


最たるものは治癒の奇跡である。

魔術でこれを再現しようとすると、傷は塞がるが体力が失われ死亡したりなどなかなかうまくいかないのだが、奇跡は違う。

大怪我を負い、息も絶え絶えな者が助かるのだ。


だが使い手は魔法使い以上に少なく、前述の大怪我から救うような奇跡を起こせる者は稀。

死者蘇生は神のみぞ起こせるとされる。


信仰心が奇跡を授かる基準だと思われているが実際にはよくわかっていない。

敬虔けいけんな司祭がまったく奇跡を授からず、逆に神をあまり信用していない者が自由に奇跡を起こせたりもする。

その逆ももちろんあり、結局のところ「神の思惑を人の身で理解しようとすること自体がおごりである」とされている。


ある死神いわく、奇跡がなんなのか知っているし神の存在証明も不在証明もできるとのこと。


●教会組織


精霊信仰も容認しているため、生粋の一神教ほど排他的ではない。

が、宗教が本来持つ排他性は「まれびと狩り」に遺憾なく発揮されている。


おおまかに「帝国派」「西方派」にわかれ、権力は各都市で分散している。

これは『奇跡』が実在するゆえ、個人のマンパワーが人気や実力に大きく左右されるため。


なので中央集権的なシステムが構築しづらく教皇にあたる地位が存在していなかった。

200年ほどまえに帝国の強硬派が「教皇派」……つまり「帝国派」を生み出した。


大都市の大聖堂には「大司祭」、中小都市には「司祭」そしてそれを補佐する「助祭」がいる。

強い奇跡の発現者は中世の「聖人信仰」さながらの熱狂を集め、教会側もそれを利用ないしは無邪気に盲信しているため、往々にして「司祭」以上の発言権を持つことも珍しくない。




●『往きて帰りての法則』


世界間の移動において「行って、戻って」からまた「行く」のは実質不可能な現象のこと。


そのモノの存在は今いる世界に紐付けされており、移動のさいにそのモノの『存在力=存在濃度』があやふやになる。

「行く」だけだったりすぐ「帰る」のならギリギリ大丈夫だが、「また行く」とその時点でどちらの世界にも属していないことになり、両世界での存在濃度がゼロ=ロストとなる。


国に例えると、パスポートなし住民票なしでホイホイ移動していると両方の国から「オマエ誰やねん」扱いされてしまう感じ。


「また行く」には、現在居る世界でしっかり自分を再定義しなければならない。

このためにかかる期間は人間ならおおよそ2年。

ちなみにこれはその世界のモノを食べて、体に取り込んで、全身の細胞が更新される期間とほぼ同じである。

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