第31話 今後について(1)

「あの、ナミさん?」


「ん? どうしたのファミル?」


「本当に、私達でダンジョンを攻略するのですか?」


翌日、ナミとファミル、シロガネの姿は聖女のダンジョンにあった。


「……攻略までは無理じゃないかな。」


「昨日の話し……ナミさんは納得されてるのですか?」


「これでも冒険者だからね。仕事として頼まれるのなら、やらないといけないと思っているわ。ファミルの方こそ納得出来てるの?」


「……神の思し召し……なのでしょう。」


2人とシロガネは5階層まで順調に進み、5階層のゴブリンファミリーも、シロガネとナミが難なく退けた。今は小休憩を取りながら、今後について話しをしていた。


「王家からの口出しってのも怪しいものだしね。今のところ、私たち以外の冒険者が入って来ないのだから、無理しない程度で攻略を進めていこうと考えてるわ。ファミルは教会から何か言われてる?」


「……教会としては不正を働いていた司祭たちを公表して、教会内部の規律を正すようです。ダンジョンについては王家と話し合いの場を設ける予定だそうですよ。」


「まぁ、妥当なところよね。他には?」


「教皇様からは攻略については無理をする必要はないと。」


「やっぱり王家次第ってところかな……」


ナミはパンを咀嚼しながら、うんうんと頷いている。


「……ナミさんは何故、王家の口出しが怪しいって思われるのですか?」


ファミルは食事の手を止め、思いつめた表情でナミへと質問をする。


「質問に質問ってのはあれだけど……ファミルは勇者って信じる?」


唐突に、ナミから返された言葉にファミルはキョトンとした。


「……勇者? ですか?」


「そう。あくまで噂だけどね。」


「それが王家の口出しと何か関係が?」


「王家の系譜に連なる高貴なお貴族様から勇者が誕生したそうよ。」


「勇者が……誕生? ……生まれたってことですか?」


「そこははっきりとしないわ。で、今回の口出しだけど、どうやら勇者様は祝福の卵と、このダンジョンの特異性を知っているようなの。」


「……はぁ。」


「私たちと同じ境遇の人物ってことよ。」


「えっ!?」





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