第23話 お話しという何か

翌日、俺たち3人+1匹はダンジョンの前に集合…ではなく、


ギルドの会議室に呼び出されていた。


「なぁ、ナミ。これから何があるの?」


「話し合いよ。」


「それはさっきも聞いたよ。何の話し合いなのか教えてくれよ。」


俺たちは会議室に座らされてかれこれ1時間は経つだろうか。


事情を知ってそうなナミに聞くもはぐらかされるし、


ファミルに至っては狸寝入りだ。ファミルと目が合うたびに寝たふりをする。


あからさま過ぎてツッコむ気にもならない。


どうやら俺だけが事情を知らされていないようだ。


「はぁ…。」


もう何度目のため息かすら分からないため息をつく。


出された紅茶もぬるくなった。


コンコン。コンコン。会議室の扉が叩かれる。


ガチャ。


「お待たせしてすまない。」


ドアを開けて入ってきたのはガタイの良い男性とメガネをかけたギルド職員の服を

着た女性。そして、教会の服をきた男性と女性。2名の男性と2名の女性だ。


ふむ…これはギルドと教会の代表者なのかな?


ギルド職員の女性が椅子を用意して、それぞれが座る。ナミの側にはギルド、

ファミルの側には教会とキレイに分かれた。


俺?なんか孤立している感じを受けてます。


「さて、シンゴ殿。先ずは遅れてすまない。調整に時間がかかってしまってね。」


「はぁ…」


「おっと、先ずは自己紹介からだな。俺はギルド長のガンプという。隣は副ギルド長のスミナだ。」


ギルド長と副ギルド長が挨拶の後に頭を下げてくる。


「シンゴです。宜しくお願いします。」


俺も倣って頭を下げる。


「次はこちらの番ですね。私は教会から派遣されました司祭のクーリアと言います。こちらは副司祭のパパルシーと言います。」


教会の女性が話され、教会の2人も揃って頭を下げる。


「シンゴです。宜しくお願いします。」


俺も倣って頭を下げる。


「ええっと、今回は何の話し合いですか?」


「ダンジョンだ。」


「あぁ、下水道のダンジョンですか?」


「シンゴ殿、下水道のダンジョンではなく、祝福のダンジョンと正式に決まりましたので、祝福のダンジョンもしくは聖女様のダンジョンと呼んで下さい。」


教会のパパルシーさんが修正してくる。真顔で。


…おぉぅ。教会の人はなかなかインパクトあるな…真顔で言うんだ。


思わず隣を見ると、座ってるファミルが顔を赤くしている。


「…まぁ、そのダンジョンについてだが…手に入れた物を全部売ってもらう。」


「…売ってもらう?売って欲しいではなく?」


ピリッ。…グ…ググ…グゥ…。


俺の発言から空気が引き締まり、重い。ひたすら重く身体を押し潰そうとしてくる。


「あぁ。売ってもらうだ。」


このギルド長、ハンパねぇプレッシャーかけてくるな。


「…嫌だと…言ったらこうなるのね…」


喋ったとたん、副ギルド長のスミナが喉元にナイフを突きつけてきた。


「スミナさん、やり過ぎじゃないの?」


ナミが剣をスミナに向けて、プレッシャーをかける。


「…すみませんでした。でも、これはシンゴさん以外は合意が取れています。」


スミナさんはナイフをしまいながら、頭を下げる。


ん?俺以外は合意してる?


「ナミもファミルも知ってたのか?」


「えぇっと、あの〜ですね…」

「昨日の夜にそれぞれの所属先から知らされたわ。」


ナミがすらすらと応えてくれる。


「ファミルもそうなの?」


「…はい。」


ファミルは下を向き、こちらを見ずに返事をする。


…昨日の夜に何があったんだ?


「ちなみに。」


ナミが言う。


「これは貴方を守るためよ。」


…何でそうなるんだ?

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