第22話 宝箱の中身

「どうだった?ケガとかなかった?」


ナミの問いかけに


「あぁ。大丈夫だ。思っていたより上手くいったな。」


シロガネが強いってのもあるが、連携によって


これといったダメージを受けることなく倒すことが出来た。


「私も、相手が盾を持っていたので不安がありましたが、


上手くいって良かったです。」


ファミルから笑顔がこぼれる。


「ピィピィ。」


シロガネもジャンプして喜びをアピールしている。


「とりあえず先ずは、ボスの宝箱開けるか。」


さっきから部屋の真ん中にドンと鎮座していて気になる。


「ボスの宝箱は罠なんてないから開けても良いよ。」


「…でも、ファミルが開けた方がいいのが出るかもしれないからファミル開ける?」


「そうだな…ファミル宝箱を開けてくれ。」


「えっ…分かりました。開けますね。」


何が出るかな、何が出るかな。


ファミルが宝箱のフタを開け、中に入っていたものを取り出した。


「これしか入っていませんでした…けど、これって…」


おいおい…呆れと驚きでものが言えないわ。


「さっすがファミル。すごい幸運ね。」


「ピィ!ピィ!」


ファミルが引き当てたのは…杖だ。


…しかも、俺と同じ杖。


「マジかよ!?確率低いはずだけど…さすがファミル、どぶの聖女様だな。」


「これでシロガネちゃんの友達が増やせられますね。嬉しいです。」


「ピピィ。」


戦いが終わり、喜んでいるファミルとシロガネを見て、ほのぼのとした空気が流れた。


「ちょっと待って…誰かいるの!!」


ナミの一声で、緩んだ空気がピリッとなる。


「隠れてないで、出てきなさい!」


「今から出るよ~攻撃しないでね~。」


声がした方向を向くと両手を振りながら歩いてくるが…


「「…ピエロ?」」


俺とファミルは真っ赤のド派手な格好とピエロのメイクをした不審者を警戒するが、ナミはその姿を見てチカラを抜く。


「ふぅ~…大丈夫よ。知り合いだわ。」


「知り合いにピエロがいるの?」


「ギルドお抱えのシーフよ。」


…派手なシーフって初めて見たわ。


「ナミさ~ん。隊長が『帰ってきて~』だって。」


「ナミ、隊長って誰?」


「ギルド長よ…仕方ない。帰るわ。」


ナミがしぶしぶと言った表情で話す。


「ファミルも予定が出来たし、皆で帰るか。」


「「はい。」」

「ピィ。」


俺達は無事にダンジョンを出てそのまま解散となった。


ナミはギルドへ。ファミルは教会へ。俺は宿屋へ。


これが三人+1匹で探検した、最後の日になった。



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