第15話 主人公の戦い方

3人+1匹でダンジョンへと入る。


ナミと2人で入ったさっきと比べると…


俺はアイテムを拾っているだけだ。


…そう、さっきと同じなんだ。


ひよこのシロガネが強すぎて、出てきたモンスターを瞬殺するんだ。


あまりにも強すぎるから、途中から攻撃をしないように言ったんだが、


ファミルも強かった。ファミルはメイスを持っていた。


教会から与えられた武器らしい。ファミルは武器に光属性を付与して戦う。


これが強かった。光属性はモンスターに効果的な属性で、どのモンスターもメイスで一撃だ。攻撃を受けそうになるとシロガネがファミルを守る。


モンスターの数が増えるとナミも戦いたいのか、攻撃に加わる。


そうなるとどうなるか…


そう、俺はアイテムを集めるのさ。


ファミルはアイテムがいらないそうだ。教会へと持っていくと有効に使ってもらえるそうだが、活躍すると足を引っ張られる等、色々と問題があるそうだ。


「教会も色々とあるんですよ…」


聖女様も苦笑いするしかないようだ。


だから、俺にアイテムを回収してもらい、俺が現金に変えて寄進する方法が誰も傷つかないそうだ。難儀なもんだ。


だから俺がアイテムを集めているのさ。


「シンゴは戦わなくていいの?」


ナミが聞いてくる。


「う~ん…すぐに戦う必要は感じないけど、仲間呼ぶタイプのモンスターでレベルだけ上げておこうかな。」


「あぁ、無限1アップね。」


「無限1アップですか?」


「そう、体力が続く限りレベルがあげられる方法よ。」


「そ、そんな方法があるんですか!?」


「まぁ、理論上だけどな。」


「理論上?」


「そう。ある程度まで上げるとレベルが上げにくくなるの。どれぐらい上がりにくいかと言うと、戦闘を48時間ずっと続けて1レベル上がるような使用ね。」


「48時間…」


「だから、理論では上げ続けられるけど、体力と気力が持たないわ。」


「なるほど。」


「まぁ、せっかくだから1度やるか。」


「はいよ。なら、私が釣ってこようか?」


「そうだな…アリタイプのモンスターが出てきていたから、アリタイプで頼むわ。」


「了解。ファミルとシロガネは待っててね。」


ナミが1人で走り出す。


『不動』


俺はスキルを発動させる。


「あの…釣りって?ナミさん1人で行きましたが大丈夫なんですか?」


「ピィ?」


…なんかシンクロしてるなファミルとシロガネ…


「この階層のモンスターじゃ、ナミがダメージくらうことないよ。釣りは、特定のモンスターをこの場所まで連れてきてもらうことかな。」


「それって大丈夫なんですか?」


「ピィ?」


「悪質な行為にもなるから、あまりオススメはしないかな。確実に倒そうとワナにかける時ぐらいかな。」


「…じゃあ、今はワナを張って待っている状態なんですね。」


「ピィピィ。」


「そうだよ。だからファミルもシロガネも手出しはしないでね。」


「分かりました。」「ピィ。」


「…シンゴ~連れてきたよ~。途中で増えたわ。」


ナミが走り走り去った後、アリタイプのモンスターが5匹、ナミを追いかけてきた。


俺は両手に魔力を込める。先ずは、俺にヘイトを向けてもらおう。


「開幕じゃ~!」


両手で魔力を放つ。

魔力がウェーブとなって敵を襲う。


ギィギィー。


アリ達が魔力をくらって、数メートル押し返される。


ギィーギィー。


アリがギロッと俺に目を向けた。


よしよし。これでターゲットは俺になったな。


再び、両手に魔力を込めて、片手ずつバレーボールの球のような魔力を放つ。


バン!

ギィー。


バン!

ギィー。


アリはボールをくらっては吹き飛ばされ、また近づいてはボールで吹き飛ばされる。


近づかれないように、また倒しすぎないように魔力を調整してアリに攻撃を加えていく。後1~2匹になると、近づいたら吹き飛ばし、仲間を呼ぶのを待つ。


仲間が増えると、両手から次々に魔力の球を投げ続ける。エンドレスだ。


バババ……バン!


ギィー……


ギギギィギィー…


バババ……


ギィー…


最初はハラハラして見ていたファミルも、俺が余裕を持って対応しているのをみて、シロガネを膝にのせてナミとしゃべっている。


このペースだと、ずっと倒せてしまうな…。


「なぁ、2人とも。」


「アハハ……シンゴどうしたの?」


「ウフフ……シンゴさんどうしました?」


「ピィ?……ピィピィ?」


「ああ、シロガネのことを忘れてた訳じゃないよ。ごめんね。」


「ピィピィ。」


「このままずっと続けててもキリがないから、今日はこの辺で終わるわ。」


バババ…


バン!


バン!


…。


「はい、おつかれ~。」


「お疲れさまでした。」


「ピィィ。」


これならある程度進められるな。


サクラがいるとされる15階層くらいまでは行けるか…


「今日は帰りましょう。」


ファミルが言ってくる。


「帰るの?」


「明日から本格的に探索するか。」


「…まぁ、それでもいいけど…」


「何か問題でもあるのか?」


「…問題ってほどではないけど。」


「帰らないとそれこそ問題になりますよ?」


「…そうよねぇ。仕方ない、帰りましょ。」


…よく分からないが、何かあるんだろう。俺には関係ないから、帰り道はまたシロガネとファミルに任せてアイテムの整理でもするか…。


「…お!ファミル祝福された卵が1個出たぞ!」


「あら、さすがにあれだけ倒したら1個くらいは手に入るんだ。」


「まさか…本当に手に入るとは…思っていませんでした。」


「いやいや、レア度がそこまで高くないから、意外と手に入るもんだぞ。」


「これは有難いですね。シンゴさん、その祝福された卵をもらってもいいですか?」


「おう。いいぞ。」


祝福された卵をファミルに渡す。


「このお礼はまた必ずさせてもらいます。」


「あぁ、いい、いい。この程度のことにお礼なんて要らないよ。」


「よっ!シンゴ太っ腹!」


「ナミも茶化すな。」


「私も何かシンゴからもらおうかな…」


「ダンジョンでナミが欲しいものとかあるか?」


「そうね…役にたちそうなものでしょ…アリの触角を2本もらおうかしら。」


「アリの触角ね…今さらナミには必要ないと思うがな。」


「まぁ、私にはいらなくても、あれば便利な物だからね。」


「まぁ、確かに最初の内はそうだな。」


「…では、今日は一旦、地上に戻ってまた明日、朝からダンジョンへと行きましょう。」


「「了解。」」

「ピィ!」


皆がファミルの言葉に返事をして、ダンジョンを後にしていく。


明日もダンジョンに向かう約束をして…

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