第20話
「でも、それって危険じゃね? 主に俺が」
魔物もわさわさ出てくるんだろ? と言う七之上に、エリザベスは答える。
このままこの場所にいては何もできないし、かといって方向も目的も定めずに移動をするとなれば、必ず精神に迷いが生まれる。
その迷いは心身を疲労させ、移動を困難にし、何もない道中で休息を取らされざるを得なくなるだろうというのだ。
そして休息とは名ばかりのものとなり、足を止めるだけの無為となるに違いない。
「食料も水もないのに、疲れを回復させることはできません」
さらに足を止めている間に、夜になる可能性がある。
夜中は魔物の徘徊する時間帯であるために、周囲を魔物に囲まれてしまう可能性が高い。
そうなった場合には逃げられもせず、疲れているために戦うこともできず、すぐに殺されてしまうという結末が予想される。
「まあ、私だけなら死なない自信はありますが」
七之上は無様な異状死体を野に晒すことになるだろう、とエリザベスは言うのだ。
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