第10話

 七之上は神様の両手を取って、十分に感謝の気持ちを込めて握手した。


「神様、俺はやってやるよ!

 必ず異世界でハーレム作ってニャンニャンするんだ!」


「ハーレムは茨の道だからお勧めしないけどね!

 後ろから刺されないように、頑張ってね!」



   ***



 楽しいときは瞬く間に過ぎ、やがて終わりを迎える。

 二人の、別れの時が訪れていた。

 転生に関する全ての説明と準備が終わったのだ。

 あと残っていることは、異世界に用意してある肉体に七之上の魂を転移させることだけである。


 地面に描かれた円の中心に、七之上は立っている。

 円の内部には緻密に描かれた幾何学模様がゆっくりと動いていた。


 それは転移魔法陣というものであった。


 神様が言うには、魂を無事に転移させるために前もって用意していたものらしい。


「世話になったな、神様。

 世界に羽ばたける俺の活躍を、期待して見守っててくれ」


「ぶっちゃけ君だけを見守る暇なんてないよ!」


「薄情な神様だな。

 俺だけを! ずっと見ていてくれよ!」


「やだよ! 神様をなんだと思ってるのさ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る