第2話

 いくつかの季節が過ぎて少年はいつしか立派な青年になり、お父さんにも負けないぐらいの優秀な飛行艇乗りになりました。

 少年も大きくなるにつれいつか自分もお父さんの夢を叶えるため、空へ旅立とうと思うようになりました。

 そして、ついに夏至の夜、夜空へ旅立ちました。

 夜空が明け始めると遠くに空を行く渡り鳥達の群れが見えました。彼はその渡り鳥達の群れに近づきました。

 彼は言います。


「渡り鳥達よ、お前たちの中の誰かが嵐の王様“サンベルジュ”のもとへゆこうとするものがいれば教えてくれ」


 すると年老いた一匹の渡り鳥が近くにやってきました。


「私は渡り鳥の王“ロゾ”。これから嵐の王サンベルジュのもとへゆき、この渡り鳥の王が代わった事を伝え、この若い旅鳥達の空の安全を伝えるところだ」

「渡り鳥の王ロゾよ、もしよければ僕もサンベルジュのもとへ連れて行っておくれ。私は青年“ルカ”。父の夢を追う空ゆく旅の者だ」


 渡り鳥の王はゆっくりと羽ばたく翼をルカの青い瞳の近くまで寄せると、静かに頷きました。


「良いだろう空を旅ゆく青年ルカよ、私達は種族が違っても同じこの広い空を旅する者同士だ。そして同じ旅の目的を持つ者同士だ。君の申し出を受けて、私がサンベルジュのもとへ導こう。さぁ、私の愛しい子達よ、ここでさようならだ。君達は若く新しい王を得た、新しい王と共に君達の道をゆくが良い。私はサンベルジュに君達の旅が安全にいくよう伝えよう、ではご機嫌よう」


 ルカは手を伸ばすと渡り鳥の王を自分の懐に招き入れました。そして渡り鳥達は静かにゆっくりと円を描いて西の空へと消えて行きました。

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