RINARINA

中田ねお

第1話 序章

甘い、甘いなぁ

それが最初の印象だった


伊勢丹の特設会場にあった行列

なんの行列だろう…

いつ患ったのかわからないうつ病にかかっていた僕に同棲相手が課した指名

「焼きプリンを買ってきて」

SNSで流行りになった…最近はバズったと言うのか…それを買ってきてという

多分彩香はプリンが欲しかった訳ではないのであろう

ただ毎日寝て起きてただ窓の外を眺めている僕を外に出したかっただけだと思う

特設会場の人混みの中にどうやって入っていこうかと戸惑って立ち竦んでいるうちに意思とは関係なく列に含まれていた

ゆっくりと進んでいく行列に流されるまま

辿々しく進んでいくなかぼんやり前を見つめていた僕は軽い目眩を感じた

色の世界…

しばらく同じ色しか見ていなかった僕にはあまりに強烈だった色にしばらく目眩を感じたままだった

こめかみを押さえつつ気付くと最前列

僕が買い物をする番だった

犬…うさぎ…ひよこ…ひつじ…

どうやら色とりどりの動物を模した色らしい

いらっしゃいませどれになさいますか?

笑顔の催促に「あっこれで…」手元にあった1枚

青い馬を買った

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