第60話
俺の探査スキルが変化した初日を含めた都合4日半の調査で、チーム全体としても一旦第1次調査を終えることになった。
本当はもう少し続けたい気持ちが、俺にもエリーゼにもあったのだけど、先行パーティーの人達はもちろんバステフマークの人達もかなり疲れを感じている様子だ。
なので、ここで一区切りという事になった。
第1階層、オークの大広間の先の斜面から下を暫定的に第1階層と呼んでいるが、そこのマッピングは順調だ。これまでの所、出現する魔物はオークのみ。1度の接敵で最大でも4匹の群れ。
初遭遇ポイントより先に進んだが、まだこの階層の全貌は見えない。
マッピングを丁寧に進める必要は皆が感じているので、すぐにまた開始される第2次調査からはパーティーを増やす方向になりそうだ。
そういう訳で、一旦街へ帰ることに。
帰り道で、セイシェリスさんに
「シュンのことは今更だが、エリーゼもタフだな。毎日やっていると言ってた朝訓練の成果なのか?」
と尋ねられて、エリーゼが言う。
「そうだと思います。最初にシュンから、持久力無さそうだから一緒にやるぞと言われて、それを続けてたらどんどん楽になりましたから」
「身体が資本ですからね」
と、俺もそう付け加えた。
「俺達も、やった方がいいだろうな」
ウィルさんが真面目な顔でそう言った。
さてさて、俺達はちょっと久しぶりに「双頭龍の宿」に帰って来て、美味しい食事にお風呂。
「はあぁ~~たまらん。あぁぁ~たまらん」
湯船に浸かって、どっかのスライム風呂のように寛ぐ。
宿にベルディッシュさんから言伝が入っていたので、明日は顔を出す予定。そのあとはギルドかな。
宿のベッドが嬉しい。今夜はスッキリした気分で眠れそう。
翌朝。しっかり朝訓練の俺達。本当に駄目な時はしっかり休むようにはしてる。けれど、続けているうちに段々とそのボーダーが上がってきて、朝訓練を休みにすることが結果として少なくなっている。
「シュン、今日ギルドに行くよね」
「あー、うん。そのつもり。首飾りを渡しとこうと思ってるよ」
そう、首飾り。
残りの2個のうち一つはフレイヤさんへ。あと1個は予備ね。
ベルディッシュさんの店に行ってトイレボックスを受け取る。修繕、改造のメインの作業は大工さんだったんだけど、ベルディッシュさんが案件の取りまとめをするように俺と業者の間に居てくれる、いつものパターン。
トイレの中の魔道具の類は、俺が一度仮設置して確認済み。意外に手間がかかると言う内装の仕上げを待っていた。あ、お金は既に払ってるよ。
早速、魔道具の本設置をしたりあちこち見てみたい気もするが、物がトイレなだけに場所は変えるべきだと思い直して、収納に仕舞い込んでおくだけ。
ベルディッシュさんは、
「なんか気になるとこ出てきたら、いつでも言ってこい」
そう言ってくれた。
「あ、親父さん。バッグを追加で作ろうと思ってるんですよ」
「おう、あれは面白かったな。いいぞ、いつでも」
今考えてるのは、エリーゼの二つ目。
あ、プライベートのがあるから3つ目か。
…などなど。
エリーゼは今日はお菓子作りと言ってたので別行動。
たまにはね。そんな日もあっていい。
独りが寂しいなんか、言わないんだからね。
最近、鑑定スキルで人を見ている。
逆察知されることは、エリーゼ、フレイヤさんとも検証してこれまでの所は無い。まだ、罪悪感と言うのかな。後ろめたさ、やっぱりそういうのはある。
でもフレイヤさんは、あまり気にするなと。
おそらく俺の鑑定に気が付くのは鑑定が効かない相手だと言われて、なるほどと思った次第。
で、鑑定できない相手にはまだ出会ってない。出会ってしまったら面倒しかなさそうな気がするんだけど、その時は潔く…、何とかするつもり。
さて、ギルドでフレイヤさんに首飾りを無事に献上して、さんざん呆れられた俺は、とっとと宿に帰る。
そうそう。偶々、ミレディさんがフレイヤさんと一緒に居たので、なんか一人だけにという訳にもいかず、ミレディさんにも首飾りを受け取っていただきました。予備は、また作っとこうかな。でもあんま出回らせてもまずいんだよね。それはフレイヤさんにも釘を刺された。
ミレディさんは、更なるクリーンの改良を私も頑張ってみますね。と意欲溢れる雰囲気だった。でもミレディさんとは「また教え合いましょう」という点で、光魔法師同士の気持ちは一つです。
宿に帰ってすぐ、裏庭にトイレボックスを出す。
諸々の器具の本設置と調整作業。そして外からも中からもいろいろと確認をする。
「あー、シュン完成したの? やった、クリーンルーム!」
そう。目ざとくやって来たのはエリーゼ。
クリーンルームか、その名前良いかもね。部屋と言うほど大きくはないけど、小さくも無いから、いいか。シャワールームなんてのもあったしね。まあ、日本でのクリーンルームはもっと規模が大きい、意味合いも別の物だったんだけど。
そして、エリーゼの高い評価を貰えた。これで少しでもストレスなく仕事が出来ればね、安いもんです。
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