第3話

 右端、前から五列目。私の席。左斜め前方一心不乱にペンを取る。

 音が流れてくる。

 硬い音。


 硬いのに色が見えてくる。赤、青、緑、白。


 私もペンを持つ。出来ないとわかっても手を動かす。

「分からない」と泥沼に嵌って崩れ落ちる。


 前の人は髪長く、柔らかい優しそうな目ん玉。

 もう終わっていた。廊下に視線を感じる。

 鈍い視線。


 髪が揺れる。手が止まる。音が鳴る。


 一瞬の輝きに眼を閉じた。

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