第2話

 階段を駆け下りる。降りたところに底無し沼。ざぁーと雨が降って草叢とか生える。乾いた風が私の頬をぐにゃりと曲げる。

「おーい、おーい」

 誰かが呼んでいる。

 白桜。花びらそっと手に取って見る。

「おーい、おーい」

 私も真似てみた。

 相手は何も言わなくなってしまった。

 薄桃色のカーディガンを羽織って私は走り出す。

「おーい、おーい」

 誰も返ってこない。

 悲しくなって一人でこだました。

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