第5話 話しやすくなった女神と会話をはずませてみた場合(2)
おれは、すやすやと寝ている少女の大きい方に、『対人評価』のスキルを意識して使う。
名前:ジル 種族:人間 職業:なし
レベルなし
生命力3/10、精神力4/10、忍耐力2/10
レベルなしって、何?
もう一人の小さい方にも、試す。
名前:ウル 種族:人間 職業:なし
レベルなし
生命力2/10、精神力4/10、忍耐力1/10
この子もか。
それに、治癒をかけたのに、生命力がぎりぎりで、回復したように見えないんだけど。
精神力や忍耐力がすり減ってるのは、なんとなく、納得できる。
「セントラエム、この子たちのステータスを見てみたけど、レベルなしって、どういうことかな?」
・・・この子、たちは、まだ、七歳に、達していない、ということ、でしょう。七歳になっ、たら、人間は、スキルを、獲得しはじ、めます。そこで、初めて、レベル、が決まる、のです。
なるほど。
そういえば、転生時の年齢設定も、七歳からだった覚えがある。
「あと、おれも、この子たちも、生命力や精神力の上限は、十の倍数なんだけど、これは誰でも同じなのか?」
・・・種族によって、違いは、あります、が、人間の場合は、ほとんど、レベルの、十倍が、生命力などの、数値になります。何かの守護を、強く、受けた部族な、どの、場合、必ずしも、レベル、の十倍では、ないこと、も、あります。
「それと、治癒をかけたのに生命力はぎりぎりの数値のままだけど、回復しないのかな?」
・・・『神聖魔法・治癒』は、怪我の治療で、効果を、発揮します。怪我の、治療が行われ、ない場合、継続して、生命力が失われ、ます。
・・・生命力の回復、は、『神聖魔法・回復』と、いう、スキルでなければ、回復できません。それに、傷が、癒えたの、で、このまま、休めば、生命力も、精神力も、忍耐力も、回復する、はずです。
・・・それと、オオ、バ、こういう、ことは、私と話して、確認するより、『神界辞典』を使って、調べた方が、いいと思い、ます。そうする、ことが、スキルレベルの、向上に、つながる、はず、です。
「それは、確かに、そうなんだけど、セントラエムと話す方のスキルも、レベルを上げたいんだ。もっと、スムーズに話したいし。あと、オオバ、じゃなくて、スグル、って呼んでもらいたいんだけど」
・・・『神意拝聴』のスキル、ですね。オオ・・・、スグル、は、転生の広場、に、いた時から、このスキル、で、私と話す、つもり、でした、ね。
「そうだね。まさか、はい、いいえ、くらいしか、話せないとは考えなかったけど。今は、セントラエムが中級神になったおかげで、ここまで話ができて、嬉しいよ」
・・・中級神に、なった時、『神意伝達』の、スキル、を獲得、しました。スグ、ルの、『神意拝聴』と合わせて、私たちの、会話が、しやすくなった、のは、それも、あると、思います。
「ありがとう。おれとの会話について、なんとかしようと思ってくれて。その気持ちが嬉しいよ」
・・・はい、と、いいえ、だけでは、重要な、ことについて、話せ、ないと、考えまし、た。それに、これから、ずっと、守護神として、何年も、そばに控える、のに、話も、できない、というのは、少し残念に、思って、いました、から。
くぅ。
なんか、ありがたいね。
ずっと、そばに控える、っていうのは、少し、気恥ずかしいけれど。
守護神って、こんなにサポートしてもらえて、とってもありがたい。転生が大成功な気がしてきた。
別に、死にたかった訳ではないけれど。
でも、転生前の話じゃ、普通は守護神と会話ができないみたいだったな。
この状況は、かなり特殊、なのかもしれない。
・・・それで、スキル、の、ことなのですが、転生の広場で、スグル、が・・・? ・・・いけません、獣が、近づい、て、います。
「獣?」
・・・はい。おそら、く、大牙虎の群、れ、です。『神界辞典』を、開いた、まま、『鳥瞰図』を、使い、さらに、『範、囲探索』を、重ねて、みてください。
おれは『神界辞典』でスクリーンを開き、『鳥瞰図』を使って、タブを移動し、周辺の鳥瞰図を出したまま、『範囲探索』を強く意識する。これは初めて使うスキルだけど・・・。
鳥瞰図の上に、赤い点が七つ、点滅して移動している。しかも、「大牙虎」と表示されている。
かなり近づいている感じだ。
なんだ、この便利なスキルは?
『対人評価』を自分に使い、タブを移動。
名前:オオバスグル 種族:人間 職業:なし
レベル40
生命力400/400、精神力370/400、忍耐力294/400
えっと。
忍耐力が減った、気がする。
スキルを使うと、減るってことか。
「セントラエム、このへんの獣たちは、おれが転生してきた時、逃げたんじゃなかったっけ?」
・・・明確な、原因は、分かりません、が、この子、たちの、村を、襲ったことで、人間に、対する、恐怖心が、弱まったので、は、ないかと推測、します。スグルも、人間、ですから。また、人間の、村を襲った、ことで、新たな、スキルを獲得し、レベルを上げたのかも、しれません。
獣にもレベル?
獣にもスキル?
待て待て。
聞きたいこと、知りたいことはたくさんあるが、今はまず、この子たちの安全を確保することからだろう。
おれは二人を右腕に抱きかかえると、アコンの木の上にのぼり、二人を下ろした。少し慌てて抱えたせいか、目を覚ましてしまったようだ。
「ここは・・・」
「森?」
少し、混乱しているようだが、おれに対する警戒はないみたいだ。
「おまえたちの村をおそった、獣の群れが来た。危ないから、ここから、動くな。いいか」
『南方諸部族語』のスキルを意識しながら話すと、長文でも通じる。
獣の群れと聞いて、二人は体を固くした。
「いいか、ここを絶対に、動くなよ」
二人は、真剣にうなずいた。
よし。
それでいい。
せっかく、爪痕の傷を治癒させたんだから、もう、あんな痛い思いはさせない。
とはいうものの、どうしたもんか。
このまま、樹上でいなくなるまでやり過ごすか。
降りて、獣の群れと戦うのか。
セントラエムは、おれが強いという。そして、それは、確かにそうなのだろう。
でも、おれ自身には、そういう実感は全くない。
ただ、前世よりも、走ったり、跳んだりする力は、はるかに高いとは思っている。
だから、戦うことは、できるだろう。
だか、しかし・・・。
「セントラエム、このまま、あいつらをやり過ごすことはできないかな?」
・・・やり過ごす? ここで、獣の群れが、いなくなるのを、待つ、ということ、でしょうか?
「そういうこと。戦わずに済めば、それが一番いいと思う」
・・・半月前、スグルを、おそれて、逃げたのは、おそらく、『感知』か、『察知』、または『危険感知』な、どの、スキルが、獣たちにある、からです。
・・・そのスキル、の、影響、を乗り越え、て、ここに、来た、今。この、群れが、ここから、いなくなる、とは、考えにくい、と思います。
・・・スグルが、間違いなく、自分たちより、強い、と分かれば、再び、逃げることも、あるでしょう、が、今は・・・。
「難しい、か・・・」
・・・それに、この樹上で、何日も、獣が、いなく、なる、まで、待つことは、できない、と思います。獣の、方は、ずっと、うろうろ、できる、のでは、ないですか。
・・・スグルは、一人。あちらは、複数。獣たち、は、交代、で、この近辺を、動けば、土兎や、森小猪など、食料は、以前よりも、豊富、です。
戦う、方が、賢明なのだろう。
こうなったら、覚悟を決めるしか、ない。
おれは、二人の頭を軽くなでてから、アコンの木を下りた。
子どもを守るのは、教師の基本中の基本。
・・・私も、スグル、を支え、ます。
守護神も、おれにはついている。
さあ、こい。
タイガースども!
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