第36話 魅惑のダークエルフ
桜さんに、アポ代を立て替えて貰い、おばちゃんからアポを購入する。色は黄色、形はりんご、味もりんご。日本で食べたどのりんごよりもジューシーで甘味があった。
「(桜に、おんぶに抱っこじゃ、かっこ悪いから早めに換金したら?)」
「なるほど! 桜さんとりあえず魔物の素材を換金できる場所とか無いかな? 角兎の角が沢山あるんだ」
「換金でござるか? それなら探索者ギルドに行くでござる」
桜さんの後を着いて歩く、剣と盾の看板が飾られた三階建の建物に到着する。
「ここでござる。換金窓口は一階の奥でござる」
「━━━━おいあれ、王の懐刀と噂の女だぜ」
「━━━ああ、俺も見たことがある」
周囲が口々に桜さんの噂をしている。
「━━━連れてるガキはなんだ? 目つきの悪い顔しやがって」
「━━━鳥何か肩に乗せて曲芸師か?」
おっと今度は俺がターゲットか、これはファンタジーで王道の絡まれるフラグか?
「気にしないで、いいでござるよ」
「気にしてないけど……何か注目されてるなー」
「桜ちゃん。こっちよ〜ん」
色っぽい声が桜さんを呼んでいる。
「あっロザリアさん!」
桜さんは、声のする方に走っていく。
「あらあん。そちらの坊や達は誰か知らん?」
褐色で耳が長い、白髪、青い目の露出度が高いお姉さんが手招きをしている。
「すっすげえ、圧倒的なバスト! 俺、柊洋一って言いますお姉さん!」
「あらあん、礼儀正しい子ねえ」
これでもかってくらいガン見をする。すっ素晴らしい! なんじゃこりゃ! マウント富士やーまだ!
「私の胸が、気になるのかしらん? でも坊やにはまだ早いわよん。私の名前は、ロザリア・ミスタルシアよ」
「胸! よろしくお願いします!」
『ヨーイチこの人めちゃくちゃ強いわよ。下手なことすると危ないわよ』
ロザリアさんはリュイを見て、膝をつき頭を下げる。
「雷の精霊様が、我がギルドに来てくださるなんて、至極光栄です」
『あら、あんたダークエルフね? アタチを尊敬するのは構わないけど、今はヨーイチの保護者として来てるのよ!』
リュイが保護者? 何故だ! 保護者は蘭だろ!
「(洋一、リュイ様が保護者って名目の方がここでは自由にできるみたいね。だから保護者って事にしといて)」
蘭にそう言われたら、黙るしかない。うーむ納得できないが仕方ない。
「こちらの坊やは、精霊様の庇護下にいらっしゃるのですね。そちらの聖なる気を、発せられている鳥さんは」
蘭を見て、ロザリアさんが固まる。
「(私の事はリュイ様と同じく洋一の保護者として認識しておいて。あなた方に危害を加えるつもりはないわ)」
「(個別の念話━━━━。貴女様は神獣なのね。わかりました、こちらとしてはリュイ様の庇護下にいるだけでも充分な信用でしたが、神獣様のお墨付きとは━━。私の権限で図れるだけの便宜は、図ります)」
蘭とロザリアさんが見つめ合っている、まじで恋する5秒前かな? 蘭はやらんけどな!
『ヨーイチそれより、素材売るんでしょ? お小遣いがないと遊べないよー』
俺の耳をリュイが引っ張る、周りからは突然耳が伸びたように見えただろう。
「やはり化け物! 一人でに耳が伸びたわ!」
だから化け物じゃないっての! 聞こえてるからな!
「あっそうだ! ロザリアさん素材は何処で売ればいいの?」
「ん〜そうねえ。私の執務室に行きましょう。査定もしてあげるわん」
♢ 探索ギルド 3階執務室
ロザリアさんの執務室は最低限の棚と机と来客用のソファーしかない。
「ロザリアさんって、もしかしなくても偉い人?」
「王国にある探索者ギルドでは一番偉いわね。ギルド本部には、私より偉い人が沢山いるけどね」
「ここが、本部じゃないのか」
「ええ、各国にギルドはあるのよん。当然ギルドを纏める本部があるわよん。ギルド本部の場所は一部の人間にしか知らせてないわ」
セキュリティの関係かな? まあ俺には関係ないか。俺は冒険者になりたいだけだし。
「冒険者はないの?」
「冒険者、随分と懐かしい響きだわん。桜や君みたいな別世界の人達は必ず言うわね。この世界にあるのは、探索者ギルドよん。戦闘から雑用まで色々な依頼をこなすわん」
なるほど、探索者ギルドは何でもやるのか
「次に傭兵ギルド、簡単に言えば戦争請負人ね。後は商業ギルド、これは主に商売ね、衣食住更に娼館、国によっては奴隷も扱ってるわん」
「ほえー、探索者ギルドは便利やさんみたいだ」
「便利屋、そうね便利屋があってるかもしれないわ。ダンジョン探索なんかも依頼されたり、お使いを頼まれたりするしね」
「用途が広いんだなー、暗殺ギルドとかもひえっ!」
ロザリアさんの冷たい殺気が俺を包む、蘭とリュイが咄嗟に俺の前に躍り出る。
「ごめんなさいね、大人気なかったわ。暗殺ギルドは全世界の闇そのもの。いい坊や、絶対に口に出してはだめよ?」
「はっはい」
直ぐに殺気は消え、穏やかなロザリアさんに戻る。まじで怖かった、ちょっとチビッたし。
「それで、どんな素材を見せてくれるのかしら?」
「あっああ、とりあえず角兎の角が20本かな?」
鞄から出すフリをして、アイテムボックスから角を20本テーブルに並べる。
「拝見するわね。どれもついさっき仕留めたような新鮮さね。まるで時間停止したアイテムボックスから出したみたいに」
ぐっするどい、スキルの話はしない方が良いだろうな
『それで、ロザリア幾らになるの?』
ナイスリュイ、だが俺に向けてウィンクをしたら意味ないぞ?
「この鮮度と傷の無さから見て一本金貨1枚。色をつけて金貨22枚でどうかしら?」
「それでお願いします!」
これで、街で遊ぶ小遣いはできたな。あんまり長居するとボロが出そうだしな。戦略的撤退だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます