第9話 亜種は強いって相場は決まっている

 パーティーと言う名の食事会の時に思った事がある、それは精霊も普通に飯食うと言う事。俺が知ってるファンタジーでは食べてるイメージは無かった。

 

 この世界は何処か歪んでる気がする。



 村人の強さを求めて、素振りをしゴブリンやスライムと言う雑魚狩りに精を出した。ゴブリンやスライムが毎日夢にまで遠征してきた。もうね、彼奴らリポップでもするかの如く湧きやがる。だが俺はスライムなら余裕で倒せる、スライムならな。レッドスライムやグリーンスライムは無理ボコボコにされた。


「スライム亜種の癖に、強過ぎるだろ。ちくそう」


 本気で悔しかった。泣いたよ俺は。


「まあまあ洋一、少しずつだよ。何れは楽に倒せるよ多分きっとそのはず」


「曖昧に言うなよー蘭。でもさちょっとずつ強くなってるし、レベルとかステータスって向こうには無い指標があるから結構楽しいんだ。それにさ蘭が居るから、怖い物なしだ」


「お化けは? 地球でダメだったじゃない。夜中にトイレに行くのを迷うレベルで。この世界ゴーストとかスケルトンとかグールとか居るけど大丈夫なの?」


 きゅっ急になんて事を言うんだよ全く。


「蘭怖い事言うなよ、嘘だろ? レイ先生嘘だよね?」


 おっお化けなんているわけないだろ……ゾンビゲーじゃないんだし


「死霊系ダンジョンとかには居るわよ。そう言うダンジョンには大抵教会か、神聖魔法が使えるパーティとかしか行かないけど」


 お化けいるのかよ! 死霊って言葉がもう嫌っ! 幽霊とかマジ無理ゲー過ぎる。


「オレダンジョンイカナイ」


『ヨーイチあんた、魔物には突撃するのにお化けが怖いの? アタチがついてるから大丈夫よ!』


「おおー流石だ、我が心の友よ!」


 流石リュイ優しさ満点だな、こんな幼女に庇われてしまうなんて悔しい涙が出てちゃう。


「ヨーイチ、貴方また魔物に突撃したの? あれだけ安全にって言ったでしょ? 」


 おうふ、ふざけていたらレイ先生に突撃したのがバレてしまった。前回めちゃくちゃ怒られたから誤魔化さないとやばいかもしれない。


「だっだってスライムだから何とかなるかなって思って、そしたら赤いスライムが俺の腹に真横から突撃して来て、倒れたら残りのスライムがわーって」


「蘭ちゃんとリュイ様が一緒だからって油断しない!」


 凄く怒ってらっしゃる…………。


「はい、すいません。ほんとすいません」


 俺は必殺の土下座を繰り出した。これで許さない人は居ないはずだぜ。


「レイ洋一は説教を早く終わらせようと土下座してるだけだからね」

 

 おいいいい、何でそんなタイミングで暴露すんだよ! レイ先生の説教長いんだよ、だから適切なタイミングで土下座したのに!


「はあ、リュイ様キツイの1発お願いします」


『そうね、ヨーイチは反省が必要ね』


「やっやめるんだ! 話せばわかる!」


『問答無用!』


「がががががががが」


 相変わらず痺れるぜ。髪の毛チリチリになってないだろうな?


「そういや、蘭さっき空で魔法ぶっ放してなかったか? 」


『ヨーイチ当然の様に起きたのね。アタチ結構強めに撃ったのよ? アタチ自信なくなるわよ』


 リュイがびっくりしているが、多少は痛いし痺れはするんだぞ? まあそんなに効かないんだけども。


「リュイ様洋一がおかしいだけだから」


『そっそうよねヨーイチがおかしいだけよね』


 おかしい、おかしいって酷いな。話題を変えるか


「蘭さっき何と戦ってたんだよ、早く教えてよー」


「仕方ないなあ」


 蘭はアイテムボックスから黒こげででかい魔物を取り出した


「うおっ! デケエ! 何じゃこりゃあああ」


「グッグリフォン! 」


 グリフォン? この丸焼けの変な奴がグリフォン? 強いのかな?


「グリフォンて強いの? 」


「ドラゴン寄りは劣るけど、出会ったら必ず死ぬって言われるくらいよ! かなり危険なモンスターよ。知能も高く、魔法も使えるのよ」


 出会ったら死ぬレベルのモンスター多くない!? 異世界人よく絶滅しないな。


「超強いじゃん蘭すげえ! 何で倒したんだ? 襲われたのか?」



「あっ洋一がスライムにボコボコにされてる。リュイ様が居るからまあ大丈夫かなあ。ん?何だあの魔物?」


 洋一の方へ狙いを定めて、飛んでいく魔物がいる。中々の大きさだ、日本の熊くらいかな? 頭は鷲みたいだ。危険なら駆除しなきゃ。


『小さき鳥よ、貴様何者だ』


 背に翼を生やした魔物が唐突に喋りはじめた。


「言葉がわかるなら、話が早いわ。下の人間は私の家族なの。狙うのをやめてくれないかな?」


『ならぬ、我は腹が減っている。魔獣の森で我と遭遇した、不運を恨む事だな』


 はあやれやれだ、やっと知能がある魔物かと思ったのに。


「なら倒しちゃうけど、良いよね? 答えは聞いてないけど」


 かなり強めに威圧を放つ。


『貴様! 何者だ、何故その様な魔力と神力を帯びている?』


極氷針アイスニードル!」


 魔物を無視して氷の槍を100本程出し、翼を串刺しにする。落下しながらもグリフォンが何とか逃げようともがいている。


『ぐうおおおおお』


地獄業火インフェルノフレイム焼かれて死ぬえええ!」


 黒色の地獄の炎が落下中のグリフォンを焼く。


『ぎああああああああああ』

 

 グリフォンの丸焼け完成だ、上手に焼けましたっと


「おっと回収、回収っと」


 下に落ちる前に素早くアイテムボックスに回収する。



「こんな感じだったよ」


 決め台詞まである! 蘭カッコイイ、凄い、ヒーローみたいだ! 力の差があり過ぎるんだろうな、サクッと倒してるし。


「蘭がヒーローみたいだ! すごいなぁ、俺も秘められた力で魔法をドカーンとできないかなあ。 こう爆裂魔法地獄火炎弾じごくかえんだん的な感じで!」


 厨二病宜しくなポーズを決める。


『魔力0は黙ってなさい、ちょっと異常よ。いくら魔獣の森でも、ドラゴンとグリフォンが短期間で連続で出るなんておかしいわ! アタチ精霊王様に聞いて来るわ!』


 一瞬でリュイが居なくなってしまった。精霊王ってあれかな? 髭が凄いタイプの人かな?


「確かに、リュイ様が言うようにちょっとおかしいわね、ドラゴンだけならたまたまかもしれないけど、ちょっと私も探索者ギルドのギルドマスターに報告に行くわ! グリフォンの羽だけ借りていいかしら?」


 レイ先生も何故か焦ってるな。


「蘭羽貸してって、別にいいよね?」


「もちろん。私も気になるしね、それにレイなら信用出来るからね、お願いね? ああレイこの石を持っていきなさい」


 蘭がレイに石を渡す、なんだろうあの石?


「魔石かしら? 蘭ちゃん御守りか何か?」


「その魔石は魔道具なの、何処に居ても私に念話が出来るようになるわ」


「蘭ちゃんありがとう! 行って来るわ!」


 魔石を受け取るとレイ先生が嵐の様に去って行く。もうちょっとハグとか、キスとか感動的な別れ方は無かったのかなあ。


「おお、皆んな居なくなっちゃった。魔道具も作れる何てすげえな! 蘭久々に2人きりだぜ、修行しよう、修行!」


「もう魔物に突撃しないでよ?」


「もう突撃はしない、スライム怖いからな。そのうちヤムチ○になりそうだし。リアルヤムチ○は笑えないしな」


 スライム物理耐性でもあるのかな?


「スライムに勝てないのは笑えたけどね」


「おいっ!」


 失礼な家族だ。

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