アラサー子供部屋おじさんの手記
江留辺国勝
第1話 アラサー子供部屋おじさん
いつからだろうか。「子供部屋おじさん」なる言葉が誕生したのは。
この言葉の裏には、様々な思想や現実が渦巻いている。
「おじさん」になる年齢の男は、自立していなければならない。
「子供部屋」で実家暮らししている人間なんか、婚活女からすれば恋愛対象にならない。
そもそも、「子供部屋」で暮らしている年収の低いおじさんになんか社会的価値はないのだから、「子供部屋おじさん」と馬鹿にしてもいい。
「子供部屋おじさん」には社会性や甲斐性がない。
「子供部屋おじさん」の中には、仕事ができる人間などいないだろう。
「子供部屋おじさん」は、端的に言ってキモい。
こんなところだろうか。
この、小説とも、エッセイとも言えない手記は、現在進行形でアラサー子供部屋おじさんをしている人間の、魂の手記である。
いてもたってもいられなくなり、これを書くことになってしまった。
俺としては、このような代物は書きたくなかったのだ。絶対に。
プライドが許さなかった。
しかし、もう日本社会がここまで来てしまった以上、書かざるを得ない。
俺の同志である全国の子供部屋おじさん仲間を鼓舞するために。
それ以上に、男性の、男性としての権利を、男性自身が擁護するために。
昨今のメディアは、「数字さえ取れれば良い」ということと、フェミニズムの潮流に押されて、男性を馬鹿にしすぎるきらいがある。
この潮流に、俺はしっかりと異議を申し立てたい。
別に、匿名で書いている小説ともエッセイともつかない代物なのだから、売れようという気もない。これを書いて、どうということもない。
しかし、それでも俺は書かずにはいられなかった。
俺は「アラサー子供部屋おじさん」として、当事者として、声を挙げたい。
手法としては、「冴えないアラサー子供部屋おじさん」である俺の私小説という形を取る。
俺の魂の叫びを聞いてくれ。
アラサー子供部屋おじさんの手記 江留辺国勝 @Houellebecqnikatsu
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