第4話 Reaction
「
パステルカラー一色の部屋で、同じベッドに入りながら、ディアーナが小声で呟いた。
ローナは寝返りをうって彼女のほうをじっと見た。左手をシーツの外に出し、枕のフリルを掴んでいた。
答えるのに間が空いた。
困ってるようにも見えた。
幼なじみのストレートな質問にどう返答しようかと顔に書いてあった。
「どうって…?私はただ、そばにいられるだけでいいの」
その一言を聞いて、彼女は大きなため息をついた。
「
「えへっ」
「ーーーで、
「…………」
毛布を半分顔にかけながら、ローナはぼんやり天井を見上げた。
毛布で見えないが、その下では唇がとがっていそうだ。
ディアーナはローナの答えを辛抱強く待った。
急かすような話でもない。
昔からよくよく考えて話す、癖があることは承知していたからだ。
「___知らない…」と、聞こえないくらいの声で言った。
「知らないってね〜。若い男と女がひとつ屋根の下にいるんだもの、何かされているんでしょう?」
「何かって?」
きょとんとした顔でローナが聞き直した。
ディアーナはベッドから体を起こして、頭を抱えた。
ローナは二十歳は過ぎているものの、こと恋愛に関しては子どもと同じだと思った。箱入り娘なので仕方がないことなのかもしれないが、余りにも何も分かっておらず呆れるしかなかった。
もう一度、気を取り直して彼女の顔を見た。
「例えば、肩を抱かれるとか、キスされるとか…etcあるでしょう?」
「ううん。何も。でもそれがアレックスと何か関係あるの、ディアーナ?」
キッパリと答える彼女に、もう何も言えなくなってしまった。
彼女はアレックスのことを恋愛対象の男性として見ているのだろうか?
好きは好きなのだろうが、違う種類の「好き」のように思った。
彼のことを好き。…?
いやむしろ、父性を感じ、慕っているのかもしれない。
肉親を愛するに近い気がした。
それは仕方がないのか。
父親が自分の屋敷でテロリストに殺害されてしまったのだから。
母親を早くに亡くし、父一人、子一人で大切に育てられてきたのだから。
その父をあんな形で亡くしてしまい、ローナは国家防衛上の重大な鍵を知らないうちに託され、そのテロリストが起こした事件に巻き込まれた。
言ってしまえば、その事件があったからこそ、アレックスと知り合い、ここに居るわけだが。
「もういい、もういい、寝よ」
「?」
ディアーナもベッドに潜り込んだ。
どうして彼女がそんな事を言うのか不思議そうにしながら、ローナは目をパチクリと瞬かせた。
なだめるようによしよしと頭を撫でると、ローナは彼女の額に自分の額を寄せてきた。そして、静かに目を閉じ、すぐに眠りへと誘われてしまった。
そんなローナの寝顔をディアーナは複雑な表情で見つめていた。
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