第3話 ララは聖魔法の修行を始める

寒い冬が終わり、暖かな春になりました。


ララは病から回復して、もう三度目の春となります。


それから、孤児院でのセクハラ行為は収まりましたが、院長先生は未だに

御不満があるようです。


ララには、何となくその理由が分かるような気もするのですが...敢えて口を閉じ

ています。


あと後が、怖いですからね。


ただ、その地雷を踏んでしまった先輩が独りいましたが、自業自得という事に

なるのでしょうか。



この冬、私ララは久し振りに聖魔法の勉強を再開しました。


王城に居る間は、お茶会が忙しくて勉強をする暇も有りませんでしたから。


私ララが使える魔法は聖魔法に分類されているのですが、その効果は限定的で

いまいちなのです。


軽度の怪我や、病気、解毒は出来るのですが、重度のものには対処出来ません。


あっ、でも......。


不思議なことに、解呪に関しては其れなりに行使出来る事が判明しました。


これは...この冬、ララが勉強を始める前に院長先生が調べて下さいましたので

確かな事のようです。



さぁ、今日から本格的に教会の中にある治療院で私ララの修行が始まります。


この冬の、勉強の成果が問われるのです。


聖魔法の熟練度を上げるには、行使する頻度を上げることが一番の近道なのだ

そうです。

ですから治療の効果を引き上げる為に、今回ララが取り組む課題は治療回数を

こなして熟練度を増やす事です。



午前10時、治療院の扉が解放されました。


直ぐに待合室は満杯になります、そこから怪我や病気の程度を担当者によって

振り分けされてから、私達の処へと患者さんがいらっしゃいます。


本日、ララが担当するのは取り敢えず軽度のものとなりますが...。


私達が担当するこの部門が一番の人気???では無いですね、一番患者さんの

多い部門となります。


そこはもう、戦場と言ってもいいぐらいに大変忙しいところでした。


ララを含めて5人の担当者で、午前中に100人位の人達を治療したのですが...


ララは、もう既にぐったりです。


この後は2時間程休憩を挟んで、午後は2時から治療院が再開します。


果たして、ララの体力と魔力は持つのでしょうか?


...心配です。



休憩時間は修道院の自分の部屋で休む事にしました。


治療院では余りにも出入りする人が多過ぎて、その事でも疲れてしまうからです。


自室で暖かいお茶を飲みながら、ぼ~としていたら...


兄様の言葉を、ふっと思い出しました。


一度実家に帰った時の事です、この冬から聖魔法の勉強を再開すると告げた時に

「これを持って行くといい」...と渡されていた物があった事を。


兄様に渡された物の中身を確認していなかった私ララは、急いでクローゼットを

開けると箱を取り出して蓋を開け中を確認しました。


箱自体には状態保存の魔法陣が描かれていて、更に箱の中には各種ポーションが

10本ずつ納められていました。

それと、使用方法についてのメモ書きも添えられていました。


多分、ジョンが作製して置いた各種ポーションをジョンの兄であるジェイソン

さんが私ララの兄様に渡して下さったのでしょう。


そして、心配性の兄様が私ララに持たせてくれたのですね。



でも、ここは我慢です。



ララは、ポーションに頼らずに午後も乗り切ってみせます。

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