引き出しの中の人形③
この人形を見ると、凛奈に対する想いが爆発して、いたたまれなくなる。凛奈はもう、この世におらず、思い出の品物も知らぬ間に散り散りになって、捨てられたか、どこに行ったか分からなくなってしまった。だが――この人形だけは、無事に残っている。そう、凛奈がくれた人形!
俺はそうっと、人形を机の引き出しの中に戻しておいた。君は東京に持っては行けない。俺と、凛奈の思い出の地で、静かに眠れ――
持ち物の整理が終わったら、近所の寺へ行き、凛奈の眠る墓へと
「ありがとう、凛奈」
俺は墓石をそっと撫でた。心なしか、凛奈が喜んでいるように感じた。今は無理でも、
太陽の光は暖かく、空は青く
引き出しの中の人形 加藤ともか @tomokato
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