第267話 巨大な魔物?

衛兵達と戦いながら王城を目指す剣聖ルイとコボルトアサシンエンペラーのコウキ、レッドデビルベアエンペラーの袈裟懸けの3人。


「何だか揺れてるワン」

「本当だ。揺れているから歩き難いね」

「……」

袈裟懸けは無言で歩く。


王城に近付いていくと揺れも大きくなっていった。


3人を追って来た衛兵達も揺れに驚き、遠巻きに3人を囲んで辺りを見回す。


ドゴゴゴゴゴ!!


地面が大きく揺れると……。


ガラガラガラグシャン!!!


王城が崩壊した。


「ワン?」

「な、なななななななんだ!!」

「……」

崩壊した王城を唖然と見詰める3人。


「へっ?」

「ば、馬鹿な!」

「王城があああああああ」

「何があったんだ?」

騒ぎだす衛兵達。


「タクミ様を探すワン」

「ソウダナ」

「タクミ様ああああああ」

王城に向かって駆け出す3人。


ドゴッ!


3人の前に地面から黒い何かが突き出てきた。


「何だワン」

「くっ」

「ナニヤツ!」

3人は飛び退き黒い何かを睨む。


それは巨大な腕……。


そして這い出て来た巨大な魔物?


「な、何だ!」

「化け物だあああああ!」

「助けてくれええええ!」

「ひぃ、に、逃げろおおおおお!」

3人を追って来た衛兵達は驚き逃げ出した。



「グオオオオオオオオオオ!!!」


咆哮を放つ大きな口には鋭い牙があり、全身漆黒の巨大な何かは、爬虫類のような八つの冷たい目でが辺りをゆっくりと見ていた。


「貴様! 何者だワン」

「タクミ様は何処に?」

「キヲツケロ コイツ ツヨイ」


ドラゴンの顔と翼。2本の角。左右3対6本の腕。下半身は龍の魔物は腕を振り下ろす。


「ワン! 避けろ!」

コウキの大声でハッとしたルイは慌てて横に転がり躱した。


「お前は何者だワン、暴れる理由があるなら教えろワン!」

コウキの大声の問いに無言の魔物。


「そんな事尋ねなくても、王城を壊して攻撃した時点で敵認定でしょ」

ルイは額から冷や汗を流していた。


「言葉が通じる相手には言葉で確認するのが俺達の流儀だワン」

コウキはいつでも動けるように警戒しながらも魔物の返答を待つ。


黒い魔物はおもむろにその下半身の長い龍の尻尾を振り回す。


3人は飛び上がり躱すが、衛兵達は撥ね飛ばされた。


「ギャアアアアアア!」

「グベシッ……」

「フギャッ!」

「ウウウ……」

「痛いよぉ……」

大部分の衛兵は叩き潰されて死んでいるが、生き残った者達も重症で横たわり呻いている。


「テキ カクテイダ」

袈裟懸けが飛び上がりざまに、右手の爪で攻撃するが、魔物が腕を振り袈裟懸けを払い飛ばした。


ドゴッ!


転がり建物に全身を打ち付けた袈裟懸け。

「クッ ヤルナ」


ヨロヨロと立ち上がり身構える袈裟懸け。


「敵確定だなワン。コイツを倒してタクミ様達を探そうワン」

コウキも短刀を抜いて構えた。


「やるしかないね」

ルイも大剣を抜剣し半身で構えた。

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