第268話 巨大な魔物2

剣聖ルイとコボルトアサシンエンペラーのコウキ、レッドデビルベアエンペラーの袈裟懸けの3人は、崩壊した王城から現れた謎の巨大な魔物と戦っていた。


「くっ、全く効かない」

ルイはコウキが牽制した隙に大剣を魔物に叩きつけるが、効果はないようだ。


「スグニ カイフクサレル」

袈裟懸けの攻撃は一定のダメージを与えるが、魔物の傷は直ぐに回復してしまう。


「避けるのも一苦労だワン」

コウキは素早い動きで翻弄しようとするが、注意をひくことが出来るのも2回に1回程度だ。


魔物の攻撃を直撃する事は避けているが、それでも魔物の攻撃はそれぞれにかすったり、魔物の攻撃で吹き飛んだ瓦礫のすべてのを躱す事が出来ず、次第に3人の傷は増えていた。


「ここまでか……」

「どういう意味だワン」

ルイの諦た呟きにコウキが尋ねる。


「コウキ、袈裟懸け、出直そう! このままではアイツを倒す手段がない」

「タクミ様達を見捨てるのかワン?」

「タクミサマノ アンピノ カクニンハ ヒッスダ」

ルイの言葉に反発するコウキと袈裟懸け。


「グオオオオオオオオオオ!!!」

魔物は咆哮すると息を大きく吸い込んだ。


「ヤバいのが来そうだ!」

「ドラゴンノ ブレスニ ニテイル」

「出来るだけ離れろワン!!」


3人は左右と後ろの3方向に走り出した。


ブオオオオオオ……。


その後ろを追い掛けるように、黒い魔物の瘴気の息が追って行く。


瘴気の息は広範囲には拡がらないようで、横に逃れたコウキが安全を確認し振り向いた。


「ば、馬鹿な……ワン……」


瘴気の息が吹きかかった建物や衛兵達の遺体が、溶けて崩れていくのを目の当たりにしたコウキが唖然とする。


「何だ! この魔物はあああああ!」

ルイは驚き震える。


「ショウキノ イキダナ……。 ン?」

袈裟懸けは冷静にその状況を見ていた。


ガタガタガタガタ……。

魔物の後方で瓦礫が微かに揺れた。


ボコッ!

瓦礫から黒い触手が這い出て来た。


ズドン! バラバラバラ……。

瓦礫から出てきたのは……。


「あ~あ、酷い目に合ったぜ」

無傷のタクミとジャイアントハーフの聖騎士リン、ブラックジャガー獣人のノワの3人だった。


「「タクミ様あああああ!」」

コウキとルイが叫び。


「タクミサマ ゴブジデシタカ」

袈裟懸けは魔物を迂回しタクミ達に駆け寄る。


「おう! ルイ、コウキ、袈裟懸け! 無事だよ。怪我もない」

手を振って応えるタクミ。


「この化け物の所為で王城が崩れて、地下に閉じ込められただけー」

魔王の本を片手に沢山の黒い触手を操り、その触手でタクミとリンを抱えているノワ。


「タクミ様は私が守る」

左手に盾、右手に魔槍アムドゥスを持ち、「聖騎士の守りパラディンガード」を展開しているリン。

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