第265話 オトキ帝国皇帝ドオエ

「陛下! 緊急事態です!!!」


近衛隊長が皇帝の執務室に入って来た。


「がはは、慌てるでない。落ち着け、何があった?」


「はっ、王城正門が何者かに破られ。その者達が騎士達を蹂躙しながら王城に向かって来ております」


「はあ? 何人で攻めて来たのだ?」


「3人です」


「3人? 馬鹿な! 3人ぽっちに突破されて捕縛も出来んのか!」


「その3人が化け物のように強くて手も足も出ません」


「騎士は無能の集まりかあああああ!」

皇帝はバルコニーに駆け寄り、正門から王城に向かう道を上から見下ろす。


「なんだあ? ありゃあああああ!」

闇の触手が、魔槍が、聖剣が騎士達を弾き飛ばし、貫き、叩き斬るさまを目の辺りにして驚愕の皇帝。


そしてタクミと目があった。


「てめえ! 皇帝かああああ! そこで待ってろよおおおおおお!」


「ひぃ」

タクミの吼えるような大声に肝を冷やす。


「奴らは、こ、ここまで来るか?!」

皇帝は近衛隊長を振り向く。


「間違いなく……。陛下、お逃げ下さい」


「に、逃げられるのか?」


「私が食い止めますので、一時も早く!」


「お主が食い止められるのか?」


「少しの間なら……。しかし、そう時間は稼げそうにはありません」


「くっ……。て、帝国を舐めやがって……」

唇を噛み震える皇帝。


「陛下! 早く!」


「ここでおめおめと逃げおおせたとしても、ダチヨが落ちれば皇帝の権威は失うだろう。我にも帝国の皇帝の矜持はある。このまま逃げられるか!」


「如何なされるのですか?」


「地下に行く! ついて参れ」


「ま、まさか? 封印を……」


「がっはっは、あの化け物達に目にものを見せてやるぞ」


「待ってください! それでは人類が──」


「煩い! 黙ってついて来い」


皇帝は急ぎ王城の地下に向かい、近衛隊長も後をついて行く。


ーーーーーーーーーーーーーーー


俺とジャイアントハーフの聖騎士リン、ブラックジャガー獣人のノワの3人は、王城の騎士達を殲滅しながら皇帝の元へ突き進む。


ドカッ!


扉を蹴飛ばす俺。


「ん? 誰もいないぞ」


バルコニーにいた皇帝がいるはずの部屋には、皇帝の姿はなかった。


「逃げたのかもねー」

ノワが部屋を調べている。


「さっきまでいたみたいにだけどー……」


「全ての部屋を探すのは時間がかかるなぁ」


「先行して探してきますねー」


「お、おう。頼んだ」

ノワが影に沈み消えて行く。


「仕方ない。リン、俺達は騎士達を倒しながら皇帝の行方を探そう」


「畏まりました」


その後、俺とリンは死なないように倒した騎士に皇帝の行方を聞きながら、王城内で皇帝を探した。

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