第226話 ダンジョン8

シヴァと俺達の戦いは続く。息もつく暇もない。


「タクミ様、すいません限界が……」


背後からジャイアントハーフの聖騎士リンの、半泣きの声が聞こえた。


長時間、スキルの『聖騎士の守り』を発動し続けて、更に身体強化や速度向上等のバフもかけているのだ。魔力も残り少なく、集中も切れてきたのであろう。


「私も限界ですー」


ブラックジャガー獣人のノワも弱気になってきた。


闇魔法で牽制し、デバフの魔法も続けていたノワも限界らしい。


リンの『聖騎士の守り』とバフ、ノワのデバフがあり、相打ち覚悟で打ち合ってたからねぇ。


ドゴーン!!


シヴァの拳が俺の顔にヒットし、体勢が崩れたところに、シヴァの横蹴りが俺の腹にはいった。


「ぐふっ」


蹴り飛ばされて転がる俺。


くそっ、『聖騎士の守り』がきれたらしい。


「「タクミ様!!」」


リンとノワが俺に駆け寄る。


「ははは、楽しかったぞ!」


シヴァはご満悦の様だ。


俺は片膝をついて口の血を拭い、立ち上がろうとすると、リンとノワは疲れた身体を、精神力で奮い立たせて、両脇から俺を支える。


「よし、ここまでだ。終わりにしよう」


シヴァが下側の右手の手の平を俺に向けて、『止め』の合図をしていた。


「ダンジョンコアは貰いたいんだがな」


俺は立ち上がり身構えた。


「ああ、ダンジョンコアな。べリアル、タクミにダンジョンコアを渡しなさい」


「良いのか?」


「元より我と戦えば渡すと言ってたはずだぞ」


「そうだっけ?」


俺はリンを見た。


「はい。そう仰っていました」


「そっか。あ、有り難う」


俺はべリアルからダンジョンコアを受け取った。


「これを持って帰るから、ダンジョンは崩れるぞ、この後どうする?」


「元の世界には戻れそうもないので、此処を出て、この世界の何処かに行くさ。この世界を見て回ろうと思っているよ」


「シヴァ様、私も御同行させてください」


べリアルがシヴァにお願いしていた。


「うむ、良かろう。同行を許す」


「ははぁ、有り難き幸せ」


シヴァとべリアルの会話を見守る俺達。


話が終わった様なので、俺はシヴァに声を掛けた。


「じゃあ、俺達は引きあげるよ」


「ん、ちょっと待て、褒美を使わす」


シヴァが俺達3人に向かって、手を横に振った。


……、何か変わったか?


「何を貰った?」


「我の加護を与えたぞ。後で確認するがよい」


「ほう。有り難うございます」


「うむ。また何処かで会うこともあるだろう。またな」


シヴァとべリアルが消えた。


転移したのか?


「俺達も帰ろう」


「「はい」」


俺達はダンジョン奥の転移の魔方陣に向かった。ここからダンジョンを出る事が出来るはずだ。

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