第227話 ダンジョン攻略

ドンドンドン!


ロイケブクの冒険者ギルド、ギルド長ロメジの執務室の扉を叩く音がする。


「ギルド長ぉ! ギルド長ぉ! 大変ですぅ!」


「メコマゴか、入って良いぞ」


「大変なのですぅ!」


受付嬢のメコマゴともう1人男性職員が、ギルド長の執務室に入って来た。


「何があった?」


「ダンジョンが攻略されましたぁ!」


「はぁ? 攻略!!」


「しかも、ダンジョンコアが壊されたか、持ち去られたみたいで、ダンジョンが崩壊しました」


「ほ、崩壊……。馬鹿な……、ロイケブクにはダンジョン攻略出来る様な冒険者はいないはずだ。しかも今まで誰も30階の中ボスに勝てた奴はいないんだぞぉ! だ、誰がやったぁ! ダンジョンの入口で門番がチェックしているはずだ。怪しい奴らは見なかったのか?」


男性職員がギルド長のロメジに言う。


「門番が言うには、怪しい奴らが名前も言わず、無理矢理ダンジョンに入ったらしいねんな」


「そいつらが犯人だな。一緒に考えるから、どんな特徴か教えてよ」


「門番が言うには、その怪しい奴らはお面を着けて3日前に入ったらしいねんな」


「タクミ達やないかい。3日前にギルドに来て、怪しい台詞吐いてたし、完全にタクミ達やがな」


「タクミ達なぁ」


「すぐ分かったやん。こんなんもぉ」


「でもこれちょっと分からへんのやな」


「何が分からへんのよぉ」


「いや俺もタクミ達と思うてんけどな」


「いやそうやろ?」


「門番が言うには、その怪しい奴らは3人組みだったって言うねんな」


「あぁ、ほなタクミ達と違うかぁ、タクミ達は4人組みだもんね」


「そやねんな」


「あれ、ほなもう一度詳しく教えてくれる?」


「その怪しい奴の1人に門番と冒険者が殴られて、凄く痛かったらしいねん。しかも手甲を着けてたらしいねん」


「タクミ達やないかい! タクミのパンチはむちゃくちゃ痛いんやからあれ、ギルドでも冒険者が殴られて、今だに痛いって言ってるのよ。俺の目は騙されへんよ、俺騙したら大したもんや」


「まあねぇ……」


「ギルド長……。」


メコマゴはギルド長をジト目で睨む。


「なに漫才やってんですかぁ!」


「はぁ、ごめんごめん。犯人はタクミ達に間違い無いな。しかしお面を着けて名前も言ってないと言うことは、証拠がない。取り敢えず俺が呼んでると言って、ギルドに呼び出せ」


「は、はい……」


(素直には来ないと思いますけどね)


「こりゃロイケブクは大変な事になるぞぉ! ダンジョンの素材で都市が発展して来たからなぁ。タクミ達がダンジョンコアを持ってて返してくれればいいが……」


「まあ、まず素直に返す事は無いでしょうね。ギルド長があんな事言っちゃいましたからね……」


メコマゴと男性職員がギルド長をジト目で見る。


「返さなかったら奪うまでだぁ!」


「はぁ、それは無理でしょうね。過去に30階のボスを倒した冒険者は誰もいないのですよ。それを含めて、もっと強いボスを攻略した人達と戦って勝てる訳が無いですよね」


「だよなぁ……。どうしよう……?」

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