第225話 ダンジョン7

俺はダンジョンの最奥の50階で破壊と再生の神シヴァと戦う事になった。


ちゃちゃっとやっちゃうか。


時を止めて、アイテムボックスから聖剣を展開した俺は、シヴァの元へ歩いて行き、首を斬り落とす。


ガキン!!


シヴァが三叉槍で聖剣を受けた。


え?


時を止めてるんだけど……。


シヴァがニヤリと笑う。


俺とシヴァは聖剣と三叉槍で打ち合う。


そのうち、三叉槍の石突きが俺の足を払い、体勢が崩れた俺にシヴァの蹴りが突き刺さり、吹き飛ばされた。


「ぐふっ」


俺の仲間達であるジャイアントハーフの聖騎士リンと、ブラックジャガー獣人のノワの元まで蹴り飛ばされた。


強力な蹴りだ。魔王のコートを装備していなかったら、かなりのダメージだっただろう。


ちっ、時を止めたのに動けるなんて、流石神と言うだけはある。これじゃ、時を止めるメリットが無いなぁ。


時を動かす。


倒れた体勢から起きあがる俺を見たリンが心配そうに声を掛けて来た。


「タクミ様、何があったのですか?」


「シヴァ神にやられた。手を貸せ」


「「承知しました」」


リンとノワも戦闘体勢になり身構える。


「くくく、剣の腕はいまいちだのう」


シヴァが歩いて近付いて来た。


「剣のスキルは無いからねえ」


「あははは、勇者で聖剣を使うのに、剣のスキルがないのかい」


「そうだ」


俺は聖剣をアイテムボックスに収納し魔王の手甲で素手で構えた。


チートスキルは『拳神』だからね。素手の方がやれるだろう。


シヴァが三叉槍で突いてきたので左手で槍の柄を払い、懐に踏み込む。


シヴァは三叉槍を返して、石突きで足払いをするが、右足の裏で三叉槍を受けて、右の中段突き。


シヴァは中段突きを躱し飛び退く。


槍は距離があった方が良いからね。そうはさせないよ。俺は更に踏み込む。


距離を取りたいシヴァは飛び退きと同時に攻撃し、間合いを詰めたい俺は、それを躱すまたは受け流しながら踏み込み攻撃する。


途中でノワの闇魔法がシヴァを襲うが、槍を持っていない手と太鼓を持つ手が闇魔法に触れると、魔法が消滅する。


暫くお互いに攻撃パターンを変えながら攻撃防御を繰り返した。


「あははは、素手の方が強い勇者も面白いのう」


躱しながら笑い喋るシヴァ。


「だが、接近戦は我も得意だ」


三叉槍と太鼓を収納したシヴァは、足を止めて、俺を向かい討つ。


超近距離で高速の接近戦が始まった。


ドカッ!ドゴッ!


ヤバっ……。


シヴァは手が4本あるからどうしても手数が多い、受けきれない攻撃が被弾してしまう。


だが、リンの『聖騎士の守り』が発動して、ダメージはないけどね。


振り返っては見てないけど、魔槍を掲げてスキルを発動しているリンが見える様だ。

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