第218話 ロイケブクのダンジョン

「貴様ら何者だ。変なお面なんて着けやがって、門番に何してくれてんだぁ! あ"ぁ」


俺が門番2人を叩きのめすと、俺達の後ろの方にいた冒険者の一人が前にでて来た。


身長2mはある長身で体格の良い大男、胸板が厚く腕が太く手が大きいレスラータイプの体格かな?


「おい、Aランク冒険者のワセンカさんだ!」

「これで問題解決だ」

「『破壊槌』のワセンカさんに掛かればイチコロだぜ」

「あいつらお面を着けて怪しかったんだよなぁ」


外野の冒険者達が煩い。


「変な正義感は身を滅ぼすよ」


俺はワセンカに言った。


「ふっ、言うじゃねえか、そのオーガのお面を叩き割ってやる。顔を拝ませて貰おうかぁ」


ワセンカは槌を出して構えた。


「お前の顔の方がよっぽどオーガだろ」


「うるせぇ」

ワセンカは鋼鉄製の槌を振り回す。


「ギルド長を恨みなよ!」


俺は槌を躱しざま前に踏み込み、横っ腹に右のフックを打ち込んだ。


ドスッ。


「ぐほっ」


勿論、魔王の手甲を装着している。


鈍い音がして身体がくの字に曲がり、続けて左のジャブを鼻に入れると、鼻血が飛び散る。


ピシッ。

「ふごっ」


ワセンカは手にしていた槌を落として、左手で脇腹を右手で鼻を押さえ、尻餅を付いた。


そして涙目で目を見開き信じられない顔で俺を見た。


ひ、ひはいよぉい、いたいよぉ……」


「お前、口ばっかりだなぁ」


ワセンカの鼻を押さえた右手の上から、右足でヤクザキックだ。


ドカッ!!


「ふひぃ、しゅいましぇん……」


「謝るぐらいなら、初めから出て来るな!」


「はひぃ」


「他に文句のあるひとぉ!」


周りの冒険者達に声を掛けたが、皆無言でこちらを見ているだけだ。


「いないみたいだね。じゃあ、ダンジョンに入ろうぜ」


「はーい」

「畏まりました」


俺はダンジョンに入ると、ブラックジャガー獣人のノワと、ジャイアントハーフの聖騎士リンが返事をして、俺の後に続く。


ダンジョンの中でノワが話し掛けて来た。


「タクミ様、素材や宝箱はどうしますか?」


「ん~、今回の目的はダンジョンを攻略してコアを奪取する、冒険者ギルドに対する厭がらせだから、最短ルートを進み、ルート上にいるモンスターだけ狩るからね」


「はーい」


俺達はロイケブクのダンジョンを進む。


手には聖剣を持って歩く俺は、初めから手加減無しだ。


ノワが先頭で探知スキルを使い、モンスターの出現や罠を教えてくれるので、楽々進むのだ。


出現したモンスターは、聖剣で斬り払い、歩みは止めない。


後ろにはルイが盾と短槍を展開している。俺が聖剣を出したのを見て、ルイも初めから全力で行くっぽい。


倒した魔物は一応アイテムボックスに収納していく。勿体無いからね。


ゆけ!ゆけ!川◯浩、どんとゆけ!!♪


口ずさみながら、どんどん行くのだ。

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