第202話 王城へ

俺とジャイアントハーフの聖騎士リンと、ブラックジャガー獣人のノワと、剣聖ルイは王城に向かって歩いている。


街の人達が俺達を恐れて道を開けていく。


「なんだなんだ……」

「あれ、衛兵隊隊長のマイルさんじゃねぇ?」

「うはぁ、あんな事して平気なのか」

「マイルさん可哀想……」

「よせ、触らぬ神に祟り無しだぞ」

「怖いなぁ、近づくなよ」

「アイツらギルド前で冒険者達を、ボコボコにしてた奴らだ」

「何されるか分かんねえぞ」


ノワが闇の触手で衛兵隊隊長のマイルを、逆さ吊りしながら歩いているからだ。


片足を闇の触手で逆さ吊りされたマイルは、白目で口から泡を吐きながら気絶している。


俺達が通り過ぎるのを、後退りしながらも黙って見ている街の人達。


俺は雷の杖を右手に持ち、杖で左手の平をポンポンと叩きながら歩いている。


何で雷の杖を持ってるかと言うと……。


「貴様ら、ここを何処だと思って──」


バシッ!


「隊長! 貴様らぁ、隊長を──」


バシッ!


行く手を遮る衛兵や騎士達を、片っ端から雷撃で気絶させながら歩いているからだ。


王城は街の中央部にあり、城の上部が何処からも見えるので、方向を誤る事はない。


しかし、城門は東西の2箇所だけだったらしい。


「タクミ様、その道を右に行ってくださーい。城門はそっちでーす」


ノワの案内があるので、迷う事はないみたいだ。


「本当に王城を襲撃するのですか?」


ルイが心配そうに俺に聞いてくる。


「ははは、相手の出方次第だな」


「そ、そうですか……」


城門前に来た。


「き、貴様らぁ! 何者だぁ! マイル殿に何をしている!」


門兵が槍を構えて誰何してきた。


「俺はタクミだ! こいつが俺達に攻撃してきたので処罰している。それより、俺を将軍ザニイが呼んでるそうだ、連れてこい!」


「ぶ、無礼な! 将軍閣下を呼び捨てとは……、しかも将軍閣下を呼び出せと言うのか?」


門兵達は、衛兵隊隊長のマイルを逆さ吊りにしている俺達を恐れて、手出しを躊躇している様だ。


「お前ら、馬鹿か? そのまま馬鹿正直に言う必要が無いだろう。『将軍に呼び出しを受けたタクミと申す者が、城門で暴れてます』とでも言えばいいだろう」


「そ、そうかぁ……」


「はぁ、こんな門兵で大丈夫なのかぁ? 報告しやすい様にちょっと暴れてやる。リン、門をぶっ壊して良いぞ」


リンが手持ちぶさたで、魔槍を展開してウズウズしているみたいなので、任せてみた。


「畏まりました」


ニッコリ笑って魔槍を構えたリン。


「な、何をする気だ……」


ドゴーン!!


リンが魔槍を突き出すと、門が溶けて弾けとんだ。


「ひゃああああああ」


悲鳴を上げて後退る門兵。


「あの強固な門が一瞬で吹っ飛んだぞ?」

「し、信じられん」

「どうする?」

「どうしよう……」


「オロオロしてないで、将軍に報告してこい!」


「ひゃ、ひゃい!」


我先に城へ駆け出す門兵達。


「おいおい、全員で行ったら拙いだろう! 俺達を見張らなくていいのか?」


俺の声が聞こえていない様で、門兵は全員いなくなった。


この国、大丈夫かぁ?

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