第189話 ノワの報告
俺達は宿屋に泊まる事にした。
チェックインは剣聖ルイに任せて、宿屋1階の食堂でルイを待つ。
チェックインを終えてルイが戻ってきたが……。
「ただいまー」
悪魔の動向を探りに行っていた、ブラックジャガー獣人のノワが、ルイと一緒に歩いて来た。
「おう! ノワ、お帰り、ご苦労様」
ノワは俺の隣に座った。
「私の分の部屋もとったよー」
「勿論OKだ。今日はゆっくり休んでくれ」
「ありがとー」
「さて、ノワの報告を聞きながら、食事にするか」
宿の従業員が食事を持って来たので、乾杯した後、夕食を食べた。
ノワが何やら魔法を掛けて、周りに音が漏れ無いようにした後、話し始めた。
「悪魔はダンタリオンと言う名前でー、国王キオーガを殺した後、キオーガに成りすましていたわー」
「そうかぁ。キオーガは悪魔を倒せなかったんだなぁ」
「ダンタリオンは、貴族を洗脳して実権を握ったのー、軍備を整えてサトウ国に宣戦布告をするつもりよー」
「それは拙いなぁ」
「マヒロシ王国の軍では、サトウ国に勝てる訳がないと思いますが……」
ルイは首を傾げる。
「いやいや、サトウ国が軍を出したら、軍隊が洗脳されるだろうよ」
「え? 拙いじゃないですか?」
「拙いね」
「と言うか、悪魔が1人でサトウ国に来ても、あっと言う間に占領されるんじゃ?」
「いや、流石にそれはないだろう。サトウ国にも状態異常耐性の魔道具が少しはある。1人だったら倒すことも可能かも知れない。だが何千、何万の数の魔道具は無いから、軍隊の大部分が洗脳されたら、大変な事になるだろう。マヒロシが軍隊を出したらサトウ国も軍隊を出さざるを得ないしね」
「うはぁ、ヤバいじゃないですか?」
「ヤバいねぇ。急ぎマヒロシの王都に行って悪魔をサクッと倒してくるか」
「はーい」
「承知しました」
「畏まりました」
「ん? ルイは留守番だよ」
「ええええええ? 何でですかぁ」
「え? むしろ何で行こうとしてる? 状態異常耐性の魔道具を持って無いだろう。一発で操られちゃうよ」
「えー、確かに無いですけど……。一つくらい余って無いですかぁ?」
「無いね」
「魔道具は幾つあるんですか?」
「ん? 一つしかないよ。それを俺が持ってる」
「ノワさんとリンさんも持って無いじゃないですかぁ」
「リンは聖騎士のスキルで魅了耐性があるし、ノワは闇魔法のスキルで同じく耐性があるんだ」
「そうなんですか?」
ルイはノワとリンに尋ねる。
「そうだよー、耐性が無ければマヒロシ王国の調査に行って無いでしょー」
「あ、そうか……。リン様は?」
ルイは恨めしそうにリンを見る。
「聖騎士は洗脳される事は無い」
「既に神に洗脳されてる様なモノだしなぁ」
「いえ、そうではありません。耐性があるのです!」
「ははは」
「そうそう、ところでレクが王都を脱出して、こっちに向かってるよー」
「ほうほう、どうでも良いけどなぁ。ん? ……ちょっと待てよ。それは良いかも……、キオーガに成りすました悪魔を倒したら、レクに王位を継がせよう」
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