第190話 王都に向かった

翌日、朝食を食べて宿を出た俺達は、ゴブリン達の野営地に行った。


ゴブマルから3頭のヒッポグリフを借りると、俺とブラックジャガー獣人のノワと、ジャイアントハーフの聖騎士リンの3人でマヒロシ王国の王都を目指す。


剣聖ルイとゴブマルは野営地で留守番だ。

ルイは恨めしい顔で出発する俺を見ていた。


出来るだけ高度を上げて見つからない様に、見つかっても弓や魔法が届かない様に飛ぶ。


暫く飛んでいると。

「あれ! レクがいるよー」


眼下に黒い点がいくつか見えた。ノワは目が良いね。俺は点にしか見えないや。


「良し、降りてみよう」


「りょうかーい」

「畏まりました」


俺達が乗るヒッポグリフが、眼下の点に向かって急降下した。


俺達はレクの一行の前に降り立つ。


「よう! レク、大変だったみたいだな?」


俺はヒッポグリフから降りると、右手を上げてレクに話掛けた。


「ああああ! 兄貴ぃ……」


レクは俺を認識すると、半泣きで両手を広げて俺に抱きつこうと駆け寄る。


「そんな趣味はない!」


俺はレクの手を掴んで、レクを躱した。


「うはっ、ひ、酷いっす……」

レクは俺を向いて涙を拭う。


苦笑いで俺達を見つめるジモと他数名のレクの護衛。


「ラナのところに逃げ込もうとしてるのか?」


「は、はい……。今更ですが、保護を希望します」


「受け入れるのは吝かではないが、悪魔ダンタリオンを殺した後は、この国をレクが纏めろよ、そしてサトウ国の傘下に入れ」


「あぁ、分かったっす。兄貴の言うことを全面的に聞くしかないっす……。ん? 悪魔を退治してくれるの?」


「あぁ、ダンタリオンの次の標的はサトウ国らしいので、サクッとやっつけてやる」


「おお! ありがとうございます」


「討伐後はラナと協力して、出来るだけ俺達に余計な労力をかけさせるなよ」


「了解っす」


「じゃあ、気を付けて、ラナのところに向かいな」


俺は再度ヒッポグリフに跨がりレクに手を振って飛び立つ。


そして、ヒッポグリフは速度を上げて、再度王都を目指す。


王都の上空に到着した俺達は、眼下の王城を見詰める。


「ノワ、王城から俺達を見ても黒い点が3つに見えるだけだよね」


「ですねー、大きめの鳥ぐらいの認識だと思いますよー」


「よしよし、ここから急降下して、王城のベランダにでも降りるか。悪魔の居場所は大体把握してるんでしょ?」


「はい。王城にいるはずですしー、王城に着けば、動いていても何処にいるか探知できるよー」


「じゃあ、急降下で行こうかぁ。おっと、リン、念の為、『聖騎士の守りパラディンガード』を発動しておいてね」


「畏まりました」


リンは魔槍アムドゥスキアスの角を掲げた。


パラディンガードが発動されて、俺達と3頭のヒッポグリフは、淡い光に包まれた。

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