第166話 押し通る

ヒッポグリフに乗って、ツハママ領最大都市ノスソに着いた俺達は城門の前に降り立つと、騎士が大勢城門から出て来た。


「何者だぁ! 何をしにここに来た」

騎士1人が大声で誰何する。


「俺の名はタクミ、国王キオーガに用があって来た。案内しろ!」


俺は、ヒッポグリフから降りて騎士の前に進む。


ジャイアントハーフの聖騎士リンと、ブラックジャガー獣人のノワもヒッポグリフから降りた。


そして3頭のヒッポグリフと共に、俺の後ろから着いて来る。


「名前だけでは判断出来ぬ、怪しい者を国王に会わせる訳にはいかんのだ。何処の国の者だ。紹介状などは持って無いのか?」


うん、国を守る騎士として当然の反応だな。


「そんなモノは無い! キオーガにタクミが来たって報告して来い! それまで待ってやる」


「なにぃ! 国王様を呼び捨てとは、無礼な! お前等の様な不審者は通さん!」


良し、押し通ろう。


大体、俺に悪魔討伐を頼みに来るのに、使用人の女性を使いに出すなんて気に食わない。


今回は始めから怒りモードだからね。


キオーガに俺の配下になるか否か確認しに来ただけだ。


このままこの都市ごと潰して配下にしても良いくらいだ。


「一刻を争う事態と聞いてるぞ。通さないのであれば押し通る!」


俺達は騎士の前に進んで行く。


「待て! 止まれ!」


騎士が手の平を前に出して、止まれのゼスチャーをするが、止まらない。


「えぇい、不信な輩だ捕らえよ!」


後ろで様子を見ていたリーダーらしき騎士が、号令を掛けた。


武器を抜いて、駆け寄る騎士達の首が落ちた。


「な、何が起きたぁ!」

「何故、死んでいくのだぁ」

「ひぃ」

「ここを通すなぁああああ」

泣きながら叫ぶ、騎士のリーダー。


俺はそのまま前に進み、武器を手にして、行く手を遮ろうとする騎士達の首が落ちていく。


騎士達は俺達の前に立つ事を恐れて、左右に退ける。騎士リーダーの前まで、道が出来た様だ。


城門前に立つその男は、青白い顔で震えていた。


「わ、儂は騎士団長タ、タイワじゃ、ここを通す訳にはいかん」


タタイワ・・・・! そこを退けぇ!」


「ひ、ひぃ、タタイワでは無く、タイワ──」

タイワの首が転がる。


この騎士隊では、悪魔の襲撃も耐えられ無いよなぁ。


俺は門が閉められた城門の前に進み、身体を捻り振りかぶり、魔王の手甲をつけた右手を強く握り締めた。


ドゴン!


俺が城門を強く殴ると、門が叩き飛んだ。


「行くぞ!」

俺は後ろにいるリンとノワに合図をして、ヒッポグリフに跨がった。


リンとノワもヒッポグリフに跨がる。


吹き飛んだ門を見て驚く住民達。

「門が吹っ飛んで来たぞ!」

「あのモンスターは何だ?」


俺達3人はヒッポグリフに乗って堂々と城を目指す。


騎士達は俺達を避けて城に駆けていった。


城の前で迎撃準備でもしてるかな?

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