第165話 ツハママ領最大都市ノスソに着いた

俺達は食事を終えて、高級レストランを出た。


悪魔討伐の依頼は物別れに終わった。その事をラナとマヒロシ国王のキオーガに報告して貰う事にしたが、どうも気になるので、ブラックジャガー獣人のノワに話しかける。


「ノワ、ゴブオ達に連絡は取れるか?」


「通信の魔道具で連絡出来るよー」


「ヒッポグリフ3頭にこちらに来て貰いたい。ヒッポグリフに乗りマヒロシ国に行って、国王のキオーガに直接聞いて来ようと思うんだ」


「分かったー」


その後、宿に戻ってチェックアウトして、地竜と馬車を受け取る。


「ここにヒッポグリフが来ると騒ぎになりそうだから、街を出るぞ」


「ですねー」


俺とノワが馬車に乗り、ジャイアントハーフの聖騎士リンと、剣聖ルイが御者席に座り、地竜が引く馬車を動かして街を出た。


馬車の中からノワがゴブオ達に連絡した。


そして、暫くラナの領地に向かって馬車を進めていると、ノワが俺にヒッポグリフが来た事を告げる。


「ヒッポちゃんが来ましたねー」


リンが馬車を止めると、上空から3頭のヒッポグリフが降りて来て並んだ。


ヒッポグリフの1頭にゴブマルが乗っていて、ゴブマルから降りると跪いた。


俺達は馬車から降りると、ヒッポグリフの前に立った。


「ご苦労さん、ゴブマル面を上げて、普通にしてて良いよ」


「御意!」


御意!って、忍者かぁ!

と心でツッコミ。


「ヒッポグリフは3頭だから……、俺と一緒に行くのは──」


「私とノワが同行致します」

リンがすかさず宣言する。


「え? 私は?」

ルイが自分を指差して慌て出す。


「取り敢えず、ゴブマルと一緒に地竜の馬車で、ラナの領地を通過中のゴブオ達と合流してくれ」


と俺が言うと、ルイは不満げな顔をする。


「えぇ! 確かに私は2人より戦力的には劣りますが……」


「ゴブマル、頼んだ」


「御意」


俺とリンとノワがヒッポグリフに乗ると、ヒッポグリフは空高く飛びあがる。


俺達はヒッポグリフに乗って、マヒロシ王国の国王キオーガが避難したツハママ領に向かう。


この世界の移動手段である馬車。しかも最速の地竜が引いた馬車でも、街道を進めば途中で色々な都市を経由する事から、道は蛇行し山を迂回したり森を迂回したりする事もあって、兎に角時間が掛かるが、やっぱり空を行くのは早いね。最短距離をスゥーッと行けるのは大きい。


途中野営や休憩は必要だが、ヒッポグリフの飛行速度も速いので、思っていたよりかなり早くツハママに着いた。


ツハママ領の領主であるマミシ公爵が住む、最大の都市のノスソに来た。


ノワ情報によると、ここに王族が避難しているらしい。


俺達はヒッポグリフに股がったまま、都市を囲む城壁の城門の前に降り立った。


大勢の騎士達が出て来て取り囲む。


敵対するなら、悪魔1体も討伐出来ない国の兵士など、何百人でて来ようが、蹴散らしてやろうと思い、自重せず正々堂々と正面から参上したのだ。

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